介護サービスを提供している事業者も広い意味ではサービス業であり、テイクアウトを実施して、コロナ禍を乗り越えようとしている飲食業界同様にお客様(ご利用者様)がいて成り立つ事業なのです。
でも、少し冷静になると当然のことが、「介護」や「福祉」というフィルターが掛かってしまうと、サービス利用する側が遠慮し過ぎてしまうケースが少なくありません。
これはやはり、「家族の介護を他人に託す」ことに、負い目を感じる人がまだまだ多いためでしょう。
その負い目にコロナ禍が拍車をかけて、その結果「介護で働く現場の方々に申しわけないよね」となり、現場や経営側は「いや、お問い合わせは大歓迎だし、空室が埋まるならすごくうれしい」と考えているのに、介護施設や介護サービスへの「自粛」が増えてしまう。
実際に企業での個別の介護相談(現在はビデオ通話で行っています)でも、このような「介護サービスの利用を自粛した方がいいのか?」に関する相談が増えています。
休業した通所・短期入所系施設はわずか1.13%
遠慮以外にも大きな原因がありそうです。その一つは、介護施設で起きたコロナ感染者クラスター感染のニュースがたびたび取り上げられていることでしょう。
また、コロナ禍で閉鎖に追い込まれた介護施設なども取り上げられていますが、実態はどうなのでしょうか。
厚生労働省は4月24日に「全国の858の介護事業者が休業した」と発表しています。
これがどのくらいの割合かといいますと、政府の緊急事態宣言後の4月13日~19日の期間に、全国の通所系・短期入所系の事業者に対して同じく厚労省が行った調査で、「介護休業」をした施設は全国の施設に占める割合の1.13%(訪問系サービスへの調査では、全国51事業所が休業。これは訪問系の事業所の0.05%)。
残りの約99%はコロナ禍でも感染拡大を免れて、試行錯誤しながらサービスを継続しています(出典はこちら)。
現場とのコミュニケーション不足が、過度な自粛につながる
「介護自粛」には、介護に当たるご家族の気持ちの問題が大きいと思います。特に、ケアマネジャーや介護事業所とのコミュニケーションが不足していた方ほど、“自粛”を選択しているように感じています。
コロナ禍による厳しい状況で運営を続けている施設があるのも事実です。例えば、子育て中のパート職員さんが多く活躍している施設などでは、子どもの学校が休校になったことでパート職員さんが休まざるを得なくなり、人手不足に悩まされている施設もあるかもしれません。
現場が困っているかもしれない、では利用者であるご家族側はどうすべきでしょうか。
状況を察して、ご両親を預けることを自粛しますか?
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