一人暮らしの親御さんでも、食事は“宅配弁当で”、入浴は“訪問ヘルパーや訪問入浴に”などの対応が可能です。介護サービスを使って行っていたことを家族だけで抱え込もうとしないでください。これまた、理由は同じです。

 日ごろは優秀なビジネスパーソンの方でも、こういう異常事態になると、つい早のみ込みをしがちです。つい最近、企業での個別相談で、こんなことがありました。

 その方は50代の女性で、一人暮らしの親が心配だからと、ご自身で面倒を見ようとしていました。まず、地域包括支援センター(包括)に相談するようご案内したところ、「でも、親の住む地域の包括のサイトを見たら、“相談業務を停止している”と書いてありました!」というのです。

 「この状況の中で、包括が業務を停止するだろうか?」と疑問に思って、そのサイトを確認すると「地域包括支援センター主催のイベントや出張相談は停止している」とありました。念のため連絡を取ってみると「イベントは中止しましたが、電話相談などは通常通り行っていますよ」とのことでした。

 さまざまなことが中止や延期となる中で、サイトを見たときに「中止」という文字だけがインパクトを持って飛び込んできてしまったのかもしれませんね。実は、同じような誤解をされる方が複数名いらっしゃいました。

 事態は楽観を許しませんので、利用制限がかからない間に、包括への相談や、デイケア・デイサービスが使えなくなったらどうするのかを、ケアマネジャーと話し合っておくことが重要です。事前に対策を立てることで、自分はもちろん介護現場サイドでも対応法が分かり、いざというときにも冷静でいられます。デイサービスなど施設への個々の連絡は、現場の混乱につながるため、まずは包括やケアマネジャーへ相談するのが望ましいでしょう。

自宅に居ることで「親の介護」に気持ちが動く

 さて、ここからは会社員、特に人事・総務関連部門の方にお伝えしたいことです。

 新型コロナ対策の切り札である「テレワーク」ですが、これをきっかけに会社員の介護離職が発生するケースが出てきています。

 「長時間家に居る」ことで、親の肉体的な老化や物忘れなどに改めて直面し、「これは大変だ」とパニックに陥って、仕事どころではない、となってしまう方が実際にいるのです。

 私がある企業で相談を受けた方は、遠隔地の仕事で親御さんとずっと顔を合わせないでいました。そして今回、在宅勤務となって実家に戻り、すっかり衰えた親御さんを見て、「会社を辞めて親の介護をする」と言い出したのです。総務の方と一緒になんとか思いとどまるよう説得して、現在「一時休職して介護に当たる」というところで折り合いつつありますが、本当はそれも避けた方がいいのです。

 なぜか。これは前回(「100%の善意が『ダブルケア』を呼び込むやりきれなさ」)で申し上げたこととまったく同じです。

 「家族に世話をしてもらうこと」に親御さんが慣れてしまうと、事態が収束したときにあなたに完全に依存してしまい、そして、あなたもそれを拒否できなくなって、元の生活に戻れなくなる(=介護離職を選択する)可能性が出てきます。

 これは決して大げさな話ではありません。

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