
「こんな状況で、親が心細がっている。心配だし、見捨てているような罪悪感がたまらない」
高齢の親御さんが一人暮らしをしていたり、あるいは郷里にいて介護を受けている場合、子どもとしてはどうしてもそう感じると思います。しかし……
「どんなに心配でも、今は親のところには行かない」
正解はこれです。理由は言うまでもありませんね。自分は元気だと感じていても、無症状感染者かもしれないからです。
こんな状況だからこそ、介護はプロに任せるべき
すでに介護サービスを受けている場合、「デイサービスで感染してこないか」「通っている施設が閉鎖されるかもしれない。早い段階で、家族で介護をしよう」と、心配になる方もいるかもしれません。
しかし、これも自分や家族が感染者かもしれない中で、親との接触を増やすような行動は避けるべきです。なにより、親を引き取った後で自分が新型コロナウイルスにかかってしまったら、一家全員が共倒れになってしまいます。
これは知っておくと少しは気が楽になるかもしれませんが、実は介護関連の施設(デイケア、デイサービスなどを含む)は、感染症対策には慣れています。毎年、インフルエンザをはじめとするウイルスの流行と戦っているからです。
介護職はインフルエンザの流行時期には、通勤時のマスク着用、出勤時の手洗い、うがいの徹底、介護職自身や家族に感染者が出た場合の数日間の出勤停止(医師の治癒証明書発行後出勤の義務付け)といった対策を取っています。
ケアをするフロアでは、定期的に消毒液の噴霧も行います。また、利用者に感染が発覚した場合は、定期訪問している医師の指示を仰ぎながら、看護職と介護職が連携し、居室内で隔離してのケアの徹底、関わる職員の限定、などを行います。ご家族やボランティアさんにも出入りの制限をお願いしておりました。
このような細かく、しかし重要なステップを踏むことを、スタッフは業務として「当たり前」に行っています。施設には看護師などの専門職がおり、利用者のバイタルチェック(体温、血圧、脈拍などの確認)を行います。そのため、発熱などの症状があれば、すぐに気づいてもらえるはずです。万が一のときも、保健所などと迅速に連携して、対応が取られる可能性が高く、さらに、国や関連省庁、自治体からの最新情報も入ってきます。
日々、介護現場で奮闘している皆さんには頭が下がる想いでいっぱいです。もちろん、人間のやることの限界はあります。すべての介護施設が完全無欠、というわけにはいかないでしょう。とはいえ、一般家庭よりはずっと厳密に、対策が取られていることは間違いありません。施設と自宅のどちらか安全なのか、落ち着いて判断しましょう。
さて、そうは言ってもデイサービスなどの介護サービスの利用が制限されることも予想されます(すでに制限が実施されている地域もあります)。そうなったら「どこまで家族がやる?」と考えざるを得ないのですが、ここでも冷静に。
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