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出産のため実家に帰って、親の要介護状態に直面

 「日経ビジネス電子版」をお読みの方には、管理職の方がたくさんいると思います。部下の女性が出産・育児休暇の申告をしてくることもあるでしょう。

 「初めての出産ですので、親元に帰って、と思っています」

 そう言われたらどう考えますか。
 「そりゃあ、ご両親もお喜びだろうし、君も安心だね」と、ほっこりしてしまいそうです。

 もちろんおめでたいことです。しかし、あなたも、部下の女性も、実家のご両親も、100%の善意から下した「里帰り出産」の決定が、思いもかけない結果を招く可能性があります。

 それは、

 「里帰り出産に故郷に戻った女性が、実家の親の介護に巻き込まれ、出産後に育児と介護の“ダブルケア”状態に陥って、心身ともに疲れ果て職場復帰もできない」

 というものです。こういう事例が介護相談で続々と出ています。

 里帰り出産をした育休中に親が倒れることもありますが、往々にして「帰ってみて初めて親の状況を知る」ことが多いようです。

 身の回りのことができなくなっている父親を、母親が面倒を見ていて、驚いて手伝うと、それを前提とした介護体制が組まれてしまう。そうなると彼女は「私が抜けたらどうなるんだろう」と考えて、育休が終わっても職場復帰を決断できず、介護休暇の申請をすることとなった。これは最近あった実例です。

 ある男性会社員の方から受けた相談も驚きでした。

 奥さんが親の介護のために実家通いを続けていたのですが、遠距離で金銭的・身体的負担が厳しい。「すこしでも楽にするために、妻は里帰りして介護しています」というのですが、実はこの家庭には3歳のお子さんがいます。そこで「自分が働きながらワンオペ育児をしていまして、体力もお金もギリギリで生活を回しているんです」。

 こんな生活が続くわけはありません。早急に対策が必要です。
 しかし「自分の家族のことならばともかく、妻の実家のことに口出しができなくて……」と、男性は顔を曇らせていました。

 この連載を読んでいただいている皆さんならば、どうアドバイスをされるでしょう。
 (次のページに進む前に、すこし考えてみてください)