「介護施設ってたくさん種類があって、ほんとに分かりにくいですね!!」
この連載の担当編集Yさんが、お母さんの今後のことで思い悩んでいました。
年末年始に、介護サービスを利用しながら郷里で一人暮らしをしている母親のもとへ帰省したYさん。
Yさんのお母さんは、自宅で生活しながらヘルパーさん、デイサービスをフル活用(週2回のデイサービスと毎日1時間の家事援助などを利用中)して小康状態でした。しかしYさんは、お母さんのトイレの失敗や、話したことをすぐに忘れてしまう様子が気になりました。
「介護は初動が大事。時間の余裕があるうちに親に合った介護の方法を選ぶべきだ、と、この連載で学んだこともありまして、すぐにではないけれど施設の入所も含めて、早めにこれからのことを考えたほうがいいな、と思って、ケアマネジャーさんに相談したんです」
相談に応じたケアマネジャーは、約2年間の担当を通じて見えてきたYさんのお母さんのパーソナリティーをこう表現したそうです。
「お母さんは、デイサービスや訪問介護のスタッフや同世代の人との会話が大好きで、『人と接する』ことでモチベーションが上がるタイプですね」
そして、こんな提案をしてくれました。
「外部刺激を心地よい程度で提供することが、お母さんの精神状態にも肉体的にもよい影響を与えると思います。在宅介護では、会話が足りないのかもしれません」
そのために具体的にどうするか。「例えば、介護保険を利用して自宅から通い、日中はデイサービスのようなところでみんなで過ごすことができる施設があります。施設にいる間は食事の提供もあり、場合によっては宿泊もできる。さらに同じ施設の職員が訪問介護もしてくれる、『小規模多機能型居宅介護』というサービスです」というのがケアマネさんの提案でした。
「まず、介護施設の種類と特徴を把握したい!」
Yさんは、「将来、母親が入所するならば、どんな介護施設がいいのか?」ということも聞きたかったため、「介護施設」についての説明も求めました。
するとケアマネさんは「大変分かりにくいのですが」と前置きしながら、「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」「介護老人保健施設」「特別養護老人ホーム」など一通りの説明をしてくれたそうです。Yさんは仕事柄、メモを取りつつそれを整理していたのですが……。
「商売柄お恥ずかしいんですが、正直、誰かに説明できるようなつかみ方がまるでできません。介護施設をすぱっと分類して、自分の親にはどれがいいのか、予算に見合うかどうかを判断できるような図や考え方って、ないんですか?」
エキサイトするYさんに私(川内)は、「いや、介護施設の分類や制度上の役割を学ぶことって、ぜんぜん重要じゃないですよ」と答えました。
「は?」と、こちらを見返してくるYさん。「なぜですか?」
Yさんがもし、ケアマネジャーや介護現場で活躍することを目指すのであれば「介護保険制度やサービスの類型、施設の詳細を理解する」ことは、当たり前ですが非常に重要です。
ですが、Yさんが意識し、考え、知るべきことは、「母親が快適に生活していくためには、どういうサービス、雰囲気が必須なのか」ということです。
そのため、Yさんの母親に合った“今後”について、制度や施設の内容の説明「ではなく」、利用者目線で、母親に適したサービスから話を始めたケアマネジャーの方は、大変素晴らしいと思いました(先述の施設のサービスを利用することになれば、その施設のケアマネジャーに交代しなくてはいけないので、自分の顧客が減ってしまうにもかかわらず、です)。
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