相談者から現状をヒアリング→高齢者のもとへ訪問(そこで認知症の簡易検査=口頭試問をすることもあります)→必要な福祉・支援につなげる

 となるはずです。
 相談は、もちろん匿名でも可能です。「マンションの同じフロアに気になる高齢者がいる」というようなちょっとした心配事を伝えておくだけでもいいのです。

早期発見で、心を閉ざす前に支援を

 包括の存在を知っていても、「家族の介護が必要になったら相談に行くところ」と思われている方がまだまだ多いようです。ですが、こういった地域のお困りごとの相談に乗ることも、実は仕事のうちなのです。

 忙しそうだし、迷惑なのでは、と思われる方にひと言申し添えますと、はい、たしかに包括の方は忙しいのです。一般的に包括は、人口3万人に1つの割合で設置されています。しかし、そこで働く職員は5~6人。単純に計算して、5千人を1人の職員で対応していることになります。

 そのため忙しいわけですが、逆に言えば、早期対応が重要な地域の高齢者の問題に、なかなか気づけない。地域の人が、「高齢者のお困りごとの早期発見に協力してくれる」というのは、むしろとてもありがたいことなのです。

 もっと言えば、支援をする側からしますと、「問題を抱えている一人暮らしの高齢者が部屋に引きこもる状態」は、栄養不良や運動不足、心理的な閉塞感を引き起こすため、時間がたてばたつほど問題が大きくなり、解決が難しくなります。

 相手が心を閉ざしてしまえば公的な支援を介入させることも難しくなります。最悪の場合、誰かがようやく気づいたときには“孤独死”をしていた、ということもあり得ます。

 早い段階での「問題を抱えている一人暮らしの高齢者」の情報は、支援側にとって助けになることを、ご理解ください。

 包括に出てきてもらうことは、別のメリットもあります。一人暮らしをしている高齢者の子どもなどに、赤の他人であるあなたが直接「これこれで困っている」と相談を持ちかけていたら、やはりいい気分にはならないでしょう。

 そして連載でも触れましたが、子どもにとって、「親の老い」は受け入れがたいものです。

 まして、親と一緒に住んでいなければ、あなたの話を信じるのは難しい。結局「そんなはずはない!」「家の問題に余計な口出しをするな!」と、話が進まなくなってしまう。実際にそんな例もあります。

 客観的な第三者として、包括が間に入ることで、子どもの側にとっても状況が受け入れやすくなるのです。

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