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 「帰宅願望」を持たれる原因の一つに、その方に施設での居場所がないということが考えられます。

 例えば、息子はとうに独り立ちしているのに、「幼い息子が心配だから帰りたい」という女性の入居者の方がいました。

 この方の心中には「母親の役割を果たしたい」という思いがあるのではないか? と推測し、食事の支度や洗濯・掃除などの“家事”を手伝いなど、母親的な役割を担ってもらい、施設内でも居場所を見つけていただく、など、試行錯誤を続けています。

 「帰りたい」という言葉にそのまま振り回されず、「なぜ“帰りたい”とこの方は思っているのか」を客観的に要因を分析して、試みを続けていく必要があります。そのため、第三者の“プロの視点”が必要になるのです。

 また、スタッフと入居者家族との間に、入居者の言葉の裏にある気持ちを話し合えるような信頼関係があることは、互いの誤解・行き違いを防ぐためにも必要不可欠です。

まだまだ考えるべきことはあるけれど。

 今回は、自分の実体験で特に気になった部分を深掘りし、川内さんの“プロの目”によるご意見を伺いましたが、どれも“目からうろこ”でした。

 「元気な」私たちの視点では、どうしても気が付かないところがあるようです。入所するのは父。父の目線で、そこでの暮らしが快適になるように。

 「なによりも “ハードよりソフト”が大切。なぜなら、そこはホテルでも、病院でもなく、生活の場だから」という点を忘れずに施設を見学することが第一なのです。「ホテルでも病院でも(レストランでも)ない!」と、揺らぐ度に唱えてみましょう。

 川内さんによると、見学は同じところに何度行ってもいいとのこと(それを嫌がるような施設は考えもの)。すでに5つの施設に申し込みはしてしまいましたが、まだどこからも返答がないので、時間があるときに気になっているポイントを再確認しに行ってみようと思います。

 人それぞれ、注目や深掘りしたいところは違うと思いますが、我が家のケースだけでもこんなにチェックや考えるべきポイントがありました。だからこそ、繰り返しになりますが、どうか心に余裕がある、まだ時間のあるうちからの施設見学を行うことを、自らの経験も通して、強く強くお勧めいたします。