「果たして、父はどの施設に入所できるのだろうか…」
この夏、7カ所の特別養護老人ホームに見学へ行き、その中から5カ所を選び、たった今、父の「特別養護老人ホーム」の入所申込書を郵便局から速達で提出してきたところです。

こんにちは。川内潤さんから伺ったお話を記事にまとめている、ライターの岡崎杏里と申します。
今回は、これまでの川内さんのコラムのいわば「実践編」!?
施設選びに直面して、私の頭の中に浮かんできたたくさんの「?」と、そう感じた経緯を振り返りながら、みなさんにも一緒に考えていただこうと思います。
川内さんからのアドバイスや連載記事(「品川の介護施設殺人に思う、人員不足の怖さ」「『豪華な老人ホーム』に親を入れられなくても問題なし!」など)を参考に、選び方の基準になる要素を見つけていきましょう。
まずは状況説明から
見学を希望した7カ所の施設については、マイカーを持たない私たちが公共の交通機関などで面会や通院の付き添いの際に施設まで行きやすい場所を選出しました。その中から、すべてに納得したわけではありませんが、切羽詰まっている状況(なのが、そもそもの反省点)の中で、「ここならば…」という5カ所を選出しました。
まずは、岡崎がなぜ、認知症の父親の介護を「特別養護老人ホームにお願いしようと思ったのか」について、お話しさせていただきます。
現在70代の父親は、50代前半に脳出血による若年性認知症(血管性認知症)になってしまいました。その介護を母親とともに20年以上在宅で頑張ってきたのですが、母親ががんを患い闘病生活を送ったり、私自身も結婚をして実家を出て子どもを持ったりと、状況がどんどん変化していきました。
私が結婚したあとも、実家の近くに住んだことで、介護のメインは母になりながらも、デイサービスやショートステイなどを活用して、私は通いの介護でなんとかこれまでやってきました。
ところが、この夏、母が体調を崩し倒れてしまい、いよいよ、在宅で父の介護を続けることが難しくなってしまったのです。
しばらくは私が実家と自宅を行き来して、両親の介護を続けていました。ですが、まだ幼い子どもの育児も抱えていると、思っていた以上に体にも心にもストレスがかかります。
実は過去に、母ががんになったとき両親の介護と看病を抱え、うつ状態になったこともありまして、自分が壊れてしまう前に「父の施設入所」を考えるようになったのです。
介護する家族が、介護者の急変に追い込まれる形で施設選びをされるケースは決して少なくありません(なぜそうなるか、詳しくはこちら)。岡崎さんの場合は、このままお母様の代わりに介護に入れば、過去の経験から「自分が壊れてしまうかもしれない」というリスクセンサーが働きました。もし、ここで気づけなければ、子育ても介護も同時並行という、たいへん厳しいダブルケア状態になってしまいます。
「施設の申し込みだけでも」とずっとアドバイスされていたのに
状況は以上なのですが、実は、そもそも、この夏の出来事に関しては大きな反省があります。
昨年から、当時のケアマネジャーさんに「とりあえず、申し込みだけでも…」と、「父の施設入所」を打診されていたのです。
私が実家を出たことで母の負担は確実に増え、両親ともに70歳を超えたので、娘として「そろそろ、施設入所を考えてもいいのではないか」と、ケアマネさんとともに、母と話し合う機会を設けました。ところが、母は「まだ大丈夫」「そのうち考える」と、乗り気ではありませんでした。
そしてこの夏、「まだ大丈夫」と言い続けていた母が、ついに倒れてしまいました。
松浦晋也さんの連載、そして川内さんの連載でも散々、「早め早めの対応を…」との忠告があり、あまつさえ自分で記事にまでしていたのに、自分のこととなると、母の言葉を信じて「父の施設入所」を考えることを先延ばしにしていました。
さらに言えば、20年以上在宅介護を頑張ってきたからこそ、私の中にも、「父を施設に入所させる」ことに迷いがありました。
正直なところ、自分の親のこととなると、「本当にそれでいいのか?」という“心のハードル”をなかなか越えられないところもあったと思います。
一方で私は、一人娘です。そして親戚も近くにいないため、母が倒れてしまうとすべての負担が自分にのしかかってくることになります。幼い息子のためにも、一家共倒れだけは防ぎたい。決断の時が迫りつつありました。
川内さんが連載で指摘されていたように、父の望むことを考慮し、母とじっくり向き合って「父の施設入所について考える」ことが、本当に大事だなと思いつつ、母が倒れたことで、育児と両親の介護で精いっぱい。いきなり“心のハードル”をなぎ倒してでも「父の施設入所」の手続きを進めねばならない状況に陥りました。
本当に川内さんの言うとおり、自分に、支える家族に心の余裕があるうちに父のことをもっとしっかり考えておくべきでした。
いっぱいいっぱいになってしまった岡崎家。
父の主治医は、介護をしている母のあまりの衰弱ぶりに驚いて、介護老人保健施設(※1)への一時入所を計らってくれました。そして、母も介護サービスを受けることになりました。現在、父のことも、母のことも、私が主たる介護者としてすべての手続きを行っています。
2人分の手続きや対応をすることはかなりの負担になります。どうか、この記事を読まれているみなさんは、私のようなことにならないように、「早め、早めの対応」を忘れないでほしいのです。
※1:「介護老人保健施設」とは主に医療法人が運営する、リハビリや医療ケアなどを必要とする要介護状態の人を受け入れる施設。在宅復帰を前提にした施設で、一定期間で退去しなくてはなりません。
まず、「施設選びをすること」と、「本当に入居すること」は別である。ここをしっかり認識することがとても重要です。
施設選びをするにも体力気力が必要。そういうリソースが残っていない中で最初から「入居」を前提にすると、「とにかく受け入れてもらえるところを探す」という形になってしまうからです。
在宅介護をしているうちからショートステイを使い、本人に施設暮らしに慣れてもらいながら、いざとなった時に助けてもらえる候補を探す、という流れがおすすめです。絵空事ではなく十分に実行可能なお話ですし、面倒なようで実は最も、介護者にも被介護者にも、ストレスがかからないやり方だと思います。
また、本当に「最期まで在宅で介護を」と思っているのであれば、家族が疲れてしまったときのリフレッシュや体調不良となった時の緊急避難先は確保しておくべきです。介護は、いつまで続くか分からないのですから、介護者のメンテナンスは最重要課題です。
そのためにも、要介護3以下の軽度や中程度の介護状態から、ショートステイや老人ホーム選びはスタートしておくべきだと思います。
そのためには「ホーム選び=必ず入居、ではない」と、しっかり自覚しておくことが重要、というわけです。また、経済的に負担の小さい「特別養護老人ホーム」を選択肢に入れるならば、時には長期の待機が予想されますので、早めの施設選びはやはり欠かせません。
こうして、バタバタした日々の中で始まった私の「父の老人ホーム探し」。
果たして、父が安心して介護を受けながら暮らすことができる「老人ホーム」に出合うことができるのでしょうか。
父は現在、生活習慣病など認知症以外の症状は落ち着いており、主治医いわく「身体はすごく調子がいい」状態です。そんな70代の父の介護生活があと何年続くか分からないため、今後の金銭的な面も考え、(公的なものよりも費用が掛かることが多い)有料老人ホームは最初から選択肢には入れませんでした。
見学に行ったのはすべて公的施設である「特別養護老人ホーム(※2)」です。
※2:特別養護老人ホームとは…基本的には要介護3以上の人を対象に、自宅での介護が困難になった人のための、社会福祉法人などが運営する公的施設。有料老人ホームのような入居金などはなく、費用が安いが、待機者が多いため、入所の際には判定基準が設けられ、それにより入所の順番が決まる(つまり、先着順ではない)。
見学の際には、以前の川内さんによる「老人ホーム選び」のポイント(こちら)に加え、私が重要視したのは、以下の2つです。
- 冒頭に述べた理由により、面会に行きやすい場所にあること
- 父が楽しめるアクティビティが多いこと
私が見学に行った7つの施設のチェックポイントや印象などを列記してみましょう(離職率など、見学した施設を特定できる詳細情報に関しては割愛します)。
ユニット型と従来型の両方がある「施設A」
施設A
★立地:最寄り駅からバスで20分ぐらい。目の前にバス停がある
★施設のタイプ:ユニット型(※3)と従来型(※4)の両方がある
★1カ月の料金(総額):ユニット型が約14万円、従来型が約11万円
★看取り:胃ろうは家族の許可があれば対応可能で、経管栄養(鼻からチューブで栄養分を注入)などがなければ、できる限り施設で対応
★待機者:ユニット型300人、従来型600人
★アクティビティ:多くはないが、季節のイベントなどがあるようだ(廊下などにそのときの写真などがある)。ボランティアの方による書道の時間などがあった。
★人員配置:日中は1ユニットに1人、夜間は2ユニットに1人、看護師は日中のみ配置し、夜間は電話対応
※3:ユニット型とは…全室個室で、キッチンやリビングなど10人程度をユニットとした共有スペースがある。
※4:従来型とは…個室ではなく、数人で1部屋の居室。(イメージとしては病院の大部屋的なもの)
上記のほかにも、特別養護老人ホームの居室には、パーテーションで区切られた「ユニット型準個室」や共有スペースのない「従来型個室」など、いくつかのタイプがある。
- ユニット型、従来型ともに明るく、清潔感があるが、トイレの臭いが気になった
- スタッフはみなにこやかにあいさつをする
- ユニット型の入所者の家族が面会に来て、一緒に食事を取っていた
- ユニット型の入居者は比較的元気な印象
- 70代の入居者は1人しかおらず、入居者の平均年齢は88歳ぐらい
- 女性の入居者が7:3ぐらいで多い
- 現在、父が通院している病院が協力医療機関になっている
- 従来型が他の施設よりも費用が安いため、待機者が多い
ユニット型から従来型への移動はありえるかが大切かと思います。重度介護が行いやすいのは、見守り頻度が増えるため、従来型かと考えております。
経管栄養にするかどうかの話し合いの場に施設の相談員やケアマネが同席するケースはこれまでにあったか<このあたりに関わりを持とうとするかどうかが、看取りに対する「本気度」が見えるところ。
ホテルのようにきれいだった「施設B」
施設B
★立地:最寄り駅から電車で2駅。駅から徒歩3分
★施設のタイプ:ユニット型のみ
★1カ月の料金(総額):約15万円
★看取り:延命措置を必要としない場合は施設で対応
★待機者:約290人
★アクティビティ:案内してくれたスタッフによると「できたばかりの施設で、徐々にこれから工夫していく」とのこと。現状では月2回ボランティアによる体操がある
★人員配置:日中は1ユニットに1人、夜間は2ユニットに1人、看護師は2ユニットに1人で、夜間は電話対応のこともある。
★印象:- できたばかりで新しい
- まるでホテルのようにキレイ
- 豪華な外観、内装
- プライバシーが重視されている点はいいが、静か過ぎる感じがした
- 新しいがゆえに、施設を上手に運用できていない印象
- スタッフは外国人が多いが、みな明るい
- 入居者に活気がない
- 部屋ではなく豪華な玄関ホールで家族が面会していた
- 食事はお米や汁物はユニットにある台所で調理する(昼食の準備中だったが、食事はおいしそう)
- 「インフルエンザになった人がこれまでに誰もいない」とスタッフが言っていた
↑同行した夫が「逆に外との接点がなさ過ぎるから?」と鋭いことを言っていた
新しい施設は、どうしても建物のきれいさに目を奪われてしまい、ケアの質について聞き忘れてしまうことがあります。また、新しい施設はケアの体制が安定していないことも予測されます。離職率を調べていただくよう、おすすめします。
入居者が「ここは楽しいよー」と言っていた「施設C」
施設C
★立地:(立地に問題がありそうだったが、ご近所でデイサービスを利用している方から好意的な情報があり見学)最寄り駅からバスで30分、バス停からも遠く、急な坂の上にある
★施設のタイプ:従来型のみ
★1カ月の料金(総額):約11万円
★看取り:延命措置を必要としない場合は施設で対応
★待機者:男性は約180人
★アクティビティ:書道や音楽演奏など地域のボランティアが来る。ただし以前はアクティビティ担当者がいたが、現在は人員不足のため不在で、そのための部屋が物置になっていた。デイサービスのない休日は広間を使い、入居者の誕生会などを盛大に行う。
★人員配置:日中は各フロアに5人ぐらい、夜間は日中の半分のスタッフで対応、看護師は日中は3人配置し、夜間は電話対応。
★印象:- 見学者を担当するスタッフが私たちの訪問日を勘違いして不在だったため、現場のスタッフが急きょ対応
- 地域で一番古い築40年以上の「特養」ということで、建物の古さは否めない
- 入居者が明るい印象。女性の入居者が「ここは楽しいよー」と、にこにこした顔で言っていた
- 昼食時の見学をスタッフがバタバタしているからと断られた
- 見学した中で、常に笑顔であいさつをするなどスタッフの印象は一番良かった(見学予約の電話をしたときに「自分が見学担当です」といったスタッフが不在だったことには問題を感じたが)
- 歴史のある施設のため、地域との交流はかなりあるようだ
- 月1回近くのスーパーが移動販売を行う
こちらは長く運営している施設なのですね。ケアのノウハウが蓄積されておりサービスの質が高い可能性はあります。人材育成や求人の工夫、建物の改修の予定なども聞いていただけると良いかと思います。
外泊が多そうで入居者生き生き、「施設D」
施設D
★立地:最寄り駅からバスで30分、バス停から徒歩5、6分
★施設のタイプ:ユニット型のみ
★1カ月の料金(総額):約16万円
★看取り:できる限り対応
★待機者:約270人
★アクティビティ:積極的に行っている。ホールがあり、そこにはグランドピアノがあり、プロジェクターを使ってカラオケをする。裏庭に家庭菜園があり畑仕事もできる。地域のボランティアも受け入れている。玄関では家庭菜園で取れた野菜を無料で配布していた。
★人員配置:日中は1ユニットに1.5人、夜間は2ユニットに1人、看護師は日中は配置し、夜間は電話対応
★印象:- 待機者が多いせいか「新設の施設ならばすぐには入れると思いますよ」と、なぜか担当者から他の施設も勧められる
- 自動販売機、お菓子の販売コーナーがあり、基本的に入居者は自由に購入することができる
- 入居者のみなさんがベッドで寝たままではなく、きちんとした身なりで杖を使いながらも自身で歩き、お茶を自分で入れて楽しんでいたり、スタッフとフレンドリーに会話を楽しんだりする姿が見られるなど、見学した中では一番、入居者が元気で生き生きしていた
- 入居者の家族が面会に来ていた
- 外泊していた入居者が2人ぐらい戻ってくるなど、入居者の家族が施設に任せっきりではなく、施設を上手に活用し、外泊しやすい環境があるのだと思った
偶然かもしれませんが、外泊を積極的にできる施設は「家族と施設との風通しが良い」「家族が入居者との関わりを継続的にできる」という良い面があると推測されます。居室がユニットのみなので、人員配置が法定の3:1以上となっているか、日中にリビングを中心にケアをしているかなどの工夫が必要になってくるかと思います。この辺は次回で詳しくご説明します。
職員があいさつをしない「施設E」
施設E
★立地:最寄り駅から電車で25分、駅から徒歩2分
★施設のタイプ:従来型のみ
★1カ月の料金(総額):約12万円
★看取り:かなりの数の看取りを経験
★待機者:約200人
★アクティビティ:季節の行事ぐらい。
★人員配置:日中は1フロアに4人、夜間は各フロア1人、看護師は日中配置し、夜間は電話対応。
★印象:- 今回見学した中で、駅からは近いが自宅からは一番遠い
- 介護度の重い人が多い印象
- ベッドで寝ている人が多い
- 施設が全体的に暗い(節電なのか、廊下などは電気がついていない)
- すれ違うスタッフがあいさつをあまりしない
職員からそういう印象を受け、重度介護の方が多い場合は、スタッフが疲れてしまって、「生活を一緒に楽しむ」という視点が持ちづらくなっている可能性もあるかもしれません。離職率を調べてみましょう。
きれいで「しーん」としていた「施設F」
施設F
★立地: 最寄り駅からバスで20分ぐらい。目の前にバス停がある
★施設のタイプ:ユニット型のみ
★1カ月の料金(総額):約15万円
★看取り: 延命措置を必要としない場合は施設で対応
★待機者:約200人以上
★アクティビティ:季節の行事など
★人員配置:日中は1ユニットに1人、夜間は各フロア1人、看護師は日中は配置し、夜間は電話対応
★印象:- ホテルのようにキレイな印象
- とても静か
- 絶えずスタッフが掃除をしている
- 「本当はこの部屋をレクリエーションに使いたいのですが、スタッフが足りず…」など言い訳(?)されるなど、立派な内装だが、それを上手に利用しきれていない感じが見られた
しーんとしていてユニット中心、となると、入居者の方々の日中の過ごし方が居室内中心になっているわけですので、見守りが行き届いているのかが心配です。手厚い人員配置がされているのであれば問題ありませんが。
活発なクラブ活動が売り物の「施設G」
施設G
★立地: 自宅から自転車で15分ぐらい
★施設のタイプ:ユニット型のみ
★1カ月の料金(総額):約16万円
★看取り: 延命措置を必要としない場合は施設で対応
★待機者:約250人以上
★アクティビティ:季節の行事やボランティアの人によるイベントがいろいろある。実費が必要だが、音楽療法、陶芸クラブ、手芸クラブ、アートクラブなどをそれぞれ月1回開催
★人員配置:日中は1ユニットに1人、夜間は各フロア1人、看護師は日中は配置し、夜間は電話対応。
★印象:- 時間がなく当日に連絡をしても、見学をすぐに受け入れてくれた
- 比較的新しく、キレイ
- 各部屋にトイレ、テレビがある
- 入居者が比較的元気
- ユニットの中にも大きなソファがありくつろぐことができる
- スタッフのあいさつもできている
- 内装はシックな感じで落ち着く
- 週2回、パンの移動販売車が来る
- 食堂があり、面会に来た家族も費用を払えば食事を一緒に取ることができる
- 面会に子どもも来ていた
- 診察は父が通院している病院の訪問医療部門が対応
クラブ活動がいくつかあるのは、岡崎さんのお父様にとっては魅力的ですね。一歩踏み込んで、そのお誘いはどのようにされているのかも聞いてみると安心です。従来の方でメンバーが固定化されていると、新たな方が参加しにくい雰囲気もあるので。
それぞれに個性があり、施設内の雰囲気、スタッフの印象なども異なっていました。そのため見学の必要性を強く感じ、時間がない中でもこの数の施設の見学をしたことは良かったと思っています。
そして、7つの施設を見学してみた結果、少し前に父に「何が今、一番楽しいか?」を聞くと「デイサービスでのイベントやカラオケ」と答えていたことを思い出し、「父が一番望んでいること」は、「アクティビティの多さ=多くの人との関わり」だとして、以下の5つの施設に入所希望を出すことにしました。
上から順に私と母が「ここならば…」と希望する施設を書きました。ですが、あくまでこれはこちら側の希望であって、施設に空きが出て、入所の条件がそろったところから、こちらに連絡が来るそうです。そこで、「第一希望でないから…」と断るか、どうか…。申し込みをしても、なお、私にとっては心理的に負担のある親のための最終判断をしなくてはいけないのです。
- 「施設D」(生き生きした入居者の様子と、アクティビティが多かった)
- 「施設G」(雰囲気の良さ、アクティビティに積極的だった)
- 「施設B」(立地の良さ、父が重要視するであろう食事がおいしそうだった)
- 「施設F」(立地の良さ)
- 「施設A」の従来型(総額とサービスの釣り合い、立地の良さ)
ちなみに今回、入所希望に選ばなかった施設は
- 立地的に問題があった
- 施設のスタッフや雰囲気に気になる点があった
などが理由になります。
みなさんの判断基準は?
みなさんならば、どういう順番で選ばれるでしょうか。
申込書には、入所の順位を決める判断基準となる、先にお伝えしたような現在の岡崎家の事情を詳細に書きました。
どこも200人以上の待機者がいるため(ある施設のスタッフによると、最短でも2年ぐらいの待機とのこと)、父の入居が何番目になるのかは現状では分かりませんし、どこの施設に入居できるかも分かりません。
ただ、父が施設に入所しても、それで介護が終わりではなく、通院の付き添いは基本的に家族が対応しなければなりませんし、実家が無理であれば、私の自宅に外泊して孫との触れ合いを絶やさないようにしたり、可能なうちは施設から連れ出してお出掛けをしたり、できる限り家族として、心穏やかに一緒に過ごしていければと思っています(その後の入所に関する状況などは、折を見て、こちらのコラム内で報告できればと思っています)。
私の“実践編”が、読者のみなさんにとって何かの参考になればと思い、今、我が家で起きていることを、川内さんの視点を加えながら、書かせていただきました。
改めて、分かったこと、分からなかったこと
最後に改めて私が7つの施設を見学してみて「見抜きたかったこと」、見学しても「分からなかったこと」と感じたのは、以下の点になります。
●「見抜きたかったこと」- そこで働くスタッフの様子
- 入居者の様子
- 築年数などではなく、施設内の清潔感や雰囲気
- 看取りについて(すべて公的な特別養護老人ホームだったせいか、新しい施設以外は看取りに関してはそれなりに実績もあり、積極的に取り組んでいる感じだった)
- 立地や自宅からの通いやすさ
このあたりは見学である程度分かるように思いました。
一方、見学だけでは分からなかったことは……。
●「分からなかったこと」- 昼食の時間に見学できなかった施設もあり「食事の内容」やそのときのスタッフの対応が分からない施設があった※これは反省でしかないが、川内さんのチェックポイントの「昼食時の見学」が、こちらの時間不足もあって一部の施設しか行えなかったのだ(その時間を断られた施設もあった)。
- 夜間のスタッフの対応
- 土日を使っての見学だったので、重要視している実際のアクティビティの様子を見ることがほとんどできなかった
これらのことは見学の時間内では分かりませんでした。しっかり見たいなら、当然ですが見学する側にも、十分な準備、時間の余裕が必要ですね。
次回、川内さんから伺った今回の見学に関しての「プロの眼」からの意見や、アドバイスをご紹介しますので、それまでにご自身で私のリストを見て、考えていただければと思います。いつか、ご自身が動かれる際にお役に立てれば幸いです。
この記事はシリーズ「介護生活敗戦記」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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