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「時間がない」焦りで、稚拙なセールスにだまされる

 公的な施設も含めて老人ホームに支払う“お金”とソフト面がイコールでないことが少なくありません。ビジネスマンとして培った交渉力があれば、キレイな設備や営業マンのセールストークにだまされず、冷静に判断ができるはずなのです。

 ところが、ギリギリの状態になるまで家族だけ介護を抱え込んでしまうとどうなるか。

 普段の自分なら「おかしいぞ」と思っても、「すぐ施設に入れなければ、自分の生活が破綻してしまう、親の面倒を見られなくなる」と追い詰められているので、「受け入れてくれるならそれだけでありがたい」気持ちになってしまい、「すぐに入所できます」といった稚拙なセールストークにまんまと乗せられる。このあたりは、ビジネスの現場でも似たことがあると思います。

 品川の介護施設で起きてしまった今回の事件が、時間の余裕を持って施設選びをしていれば避けられたのかどうかについては、もちろん分かりません。無責任なことは言えません。

 申しあげられるのは、「ここはお父さんに向くね、人手も足りているようだね」と判断できる時間の余裕があるうちに、行動を起こすことが、少なくとも現状の日本の介護状況では望ましい。ということです。

 ビジネスでも介護でも、“時間”は有限で取り返しが付かないリソース。「介護が必要になった」瞬間から、親との“時間”はどんどん切り詰められていきます。だからこそ、早い段階から気づき、上手に活用していただきたいと思います。そのためのヒントやノウハウを、これからもご提供していきます。

 ご自身の親の幸福感について、感じたこと、考えたこと、聞いたことを話してみませんか? ぜひ、そのような話題提供をいただけると幸いです。他の方にとっての、気づきや手掛かりになると思います。コメント欄にお寄せください。どうぞよろしくお願いいたします。