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 親にいきなり正面から聞いても「俺の幸せ? お前達が幸せなことだよ」(それはもちろん本音でしょうけれど)で終わり、になりかねません。親自身も気がついていないことがほとんどなので、Yさんの例のように外部の方の視点も取り入れたり、長い期間、意識を向けることが必要です。つまり“時間”が一番重要なリソースとなります。親の幸福感の探り方については、重要かつ大きなテーマですので、また改めてお話ししたいと思います。

豪華な設備が「負い目」に響く

 話を、前回の施設選びに戻しましょう。

 親御さんの幸福感を知るにも、施設選びで「すぐ入れます」に“だまされない”ためにも、やはり、必要なのは「時間の余裕」です。

 “時間”よりも“お金”を掛ければ「よい老人ホーム」に出会えると思うかもしれません。また、どうしても普通は老人ホームのハード面に注目しがちです。

 ここで言うハード面とは、利便性の良い立地、設備のしっかりした建物、広々とした個室、きれいな食堂と豪華な食事、といったファシリティーの充実です。家族が見学に来た時に、施設の営業マンはファシリティーの充実や「すぐに入所できる」といった点をプレゼンすることも多い。ですが、そこしかウリが言えない営業マンのいる施設は危ないと思っています。

 分譲マンションを購入するのであれば、それでいいのかもしれません。雑誌の「良い老人ホーム特集」などでも、数字化しやすいこのような点が注目されがちです。

 ですが、みなさんが検討するのは大切な親がケアを受けながら、日々の生活を送り、終の棲家になるかもしれない場所です。それなのにハード面を強調するプレゼンは入居する人の求めていることよりも、在宅で介護ができないという(実際は引け目を感じる必要のない)「負い目」を抱えたご家族にだけ響く内容なのです。

 だからこそ、在宅介護ができない負い目からわかりやすい指標である“お金”でハード、つまりファシリティーが充実している施設を選んでしまいがちです。しかし、残念ながら老人ホームは「ハード面が優れている高額な老人ホーム=良い老人ホーム」とは限りません。

 スタッフの質、ケアの充実度、入居する親が何を求めているかなど、「より良い老人ホーム」を選ぶ際の重要なポイント、“ハードよりもソフト”です。