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 たとえば、子どもの立場からすれば、お金をたくさん積んで、リゾートホテルと見まがうような豪華絢爛な老人ホームに入所させれば、「立派に子どもとしての責任を果たした」と感じられることでしょう。

 でも、お父さん、お母さんは、多少の不都合があっても、縁側のある自分の家で生活していきたいと思っていたのかもしれません。

 こんな話をするにはわけがあります。

 私の出張個別相談に来られるビジネスパーソンの中には、「親を豪華な施設に入れられない。稼ぎが足りないから親に十分なことをしてやれない」と、自分を責める方がけっこういらっしゃるのです。

 これは、私に言わせればナンセンスです。

 いかにハードが充実していても、それが親御さんの幸福感と一致していなければ、単に「カタログスペック(と値段)が高い」だけに過ぎません。

 考えてもみてください。スポーツカーに乗るのが好きなのに「これが一番豪華だから」と、でっかいミニバンを買ってもらったら幸せでしょうか。乱暴な例ですみませんが、男性の方には、分かっていただけるかと思います。

 無意味なことでご自分を責めるのは、今すぐ止めましょう。

施設は病院ではありません

 また、親に持病があるため、医療も受けることができる点を重視して老人ホームを探されるケースはとても多くみられます。

 ですが、施設入所は入院ではありません。

 医療を受けることよりも、自分らしく過ごすことができる気心の知れたスタッフがいる、ショートステイで通い慣れた施設へのほうがいいかもしれません。本人は延命措置を望んでいなくても、医療色の強い施設では、延命措置を優先することもあるかもしれません。