余談になりますし、もっと後の連載で書くつもりでしたが、実はこれは、施設だけでなく家庭での介護でも同じです。
自宅を訪れる介護スタッフには、ぜひ、みなさんがビジネスで培ったマネジメント力を発揮して、モチベーションが上がるような、例えば「父は川内さんにケアしてもらうと笑顔になる」など、具体的に「あなたのおかげで助かっている」ことが伝わるような声掛けをしてください(もちろんウソをつく必要はありません)。
根本的な解決策には、しかし、時間がかかります。そして、自分の親に介護が必要な状況がいつ発生するかはまったく分かりません。
皆さんにとって、すぐ必要なのは
「人手不足、スキル不足の施設をいかに“選ばないか”」
というノウハウでしょう。
事件を受けて、週刊誌やテレビ番組が、「安心できる介護施設」特集を組んでいます。実はこれについても言いたいことがありますが、まず、私なりの選び方をお話ししましょう。
全部で5つありますが、最も重要なのは「すぐ入れます」というところを選んではダメ、という点です。
以下、私が多くのご家族との個別相談などから、ご一緒に老人ホームを探してきた経験より作成した「よりよい老人ホーム選びの5カ条」です。
よりよい老人ホーム選びの5カ条
順を追ってご説明します。
1)一言目から「すぐ入居できます」「残り1室です」は絶対NG
施設側としては、まず入居されるご本人に会い、日々の生活のことなどを話した上で入居の可否を判断するのが当然です。施設側で対応できる病状かどうかや、ご本人の生活スタイルとのマッチングが取れそうかを確認しなければ、ご本人も施設にとっても、トラブルの元になります。
2)見学は昼食の時間に行こう
申し上げた通り、日中でケアスタッフがいちばん忙しいのは食事の時間です。朝昼晩三回のうちどれでもいいのですが、見学しやすいのは昼食時です。しかも、食事の味については行政の指導があるわけではないので、施設によって差が出やすいのです。人員不足やスキル不足の影響がもろに出ます。
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