第1回の繰り返しになりますけれど、「親の介護」を「経営」に例えて考えるならば、客観的に「正しい判断」をしてくれる介護プロたちと「親の介護」というプロジェクトをタッグを組んで行うことが重要なのです。

 自らが客観的に判断できない部分を託す彼らの「マネジメント」こそが、ビジネスで培った力を最大限に発揮すべきところで、決して家事やケアを自らが習得してプロ顔負けの、例えばおむつ替えなどの直接的な介護を親にしてあげることではないのです。

「親はプロ任せで放っておけ」? それは違います!

 さて、最後に大事なお話をせねばなりません。

 このようなお話をすると、「川内は、親をプロに任せて放っておけ」と言っているかのように誤解されることがあります。

 もちろんそんなことは決してありません。

 「プロができることはプロに任せて、生まれた余力で、肉親でしかできない心のケアに全力を投入してください」ということをお伝えしたいのです。

 例えば、「自分で介護をしないのならば、サービスが充実した有料老人ホームに親を入れることこそが親孝行」と思われる方もいるかもしれません。おカネを惜しまなければ、広々とした清潔な空間、豪華な食事、さまざまなアクティビティー施設などがあるかもしれません。

 でも、それはあくまで、知らない誰かがどこかで考えている「親孝行」であり、あなたの親の望んでいるものではない、かもしれないのです。

 あなたにとっては「ただ散らかっているように見える部屋」での暮らしが、親にとっては幸せ、ということも実際にはあります。親がその部屋での暮らしを望むにはそれなりの理由があるはずです。

 「親にはこうあってもらいたい」という主観的な視点でなく、客観的な視点も取り入れて、親は何が幸せなのか、という目で見ていくことで、親の希望を認めてあげることができ、それがあなただからこそできるオリジナルの「親孝行」につながります。その「客観的な視点」を持つには、そして心から笑顔になるには、心と体の余裕が絶対に必要です。

 「あなた」と「親」が笑顔になれる時間が増えれば増えるほど「親の介護」の「経営」はうまくいき、「敗戦」から遠ざかっていく。

 そうだとわかっていても、あなたと親が笑顔になれる時間を作ることこそが「介護」では一番難しい。だからこそ、客観的な視点という心の余裕を与えてくれるプロの存在がどうしても必要となるのです。

 お分かりいただけなければ、何度でも繰り返し書きますが、私のつたない文章ではご理解いただきにくい箇所もあるかと思います。ぜひ、Raiseの「“みんなの”介護生活奮戦記」まで、疑問や質問、ご自身の悩みもどしどしお寄せください。こんなテーマを知りたい、話したいというご要望もお待ちしています。

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