親を愛しているからこそ、自分しかできないことに注力しよう

 一部の自治体では、介護保険制度とは別に、高齢者のいるお宅を訪問する事業をしているところもあります。が、その介護をしている家族のことまでサポートする社会的システムはないに等しい状態なのです。自宅でひきこもって親の面倒を見ている子どもは、社会から見えない存在になりがちです。

 つまり、「あなたの限界」を教えてくれる人が誰もいない。このため、熱心で能力がある「まだ自分はできる!」「周りの人はもっとやっている!」と介護する人はアクセルを踏み続けることになり、結果として、貴方は疲れ果て、親はあなたがいなければ生きていけない状態に陥ってしまう……。

 まず、「介護は、向こうから自分に手を差し伸べてくれる仕組みがない」ことをしっかり理解してください。
 そして、有能と自覚されている方ほど「自分からSOSを発信しないと、誰も助けてくれない。止める人はいない」と認識してください。

 そして「親の介護は、親を愛しているほど、自分でしかできないことに注力しよう」ということを、理由と合わせて飲み込んでください。

 「いざとなったら、どこに向かってどう手を挙げればいいの?」と思われた方もいるでしょう。

 この記事へのコメント欄に投稿することも、手を挙げるひとつの行動ですし、私が講師を務める企業内や自治体でのセミナーへの参加も、ある意味で手を挙げるアクションを起こしたことと同じだと思っています。

 そして、前回「貴方が経営者! 介護申請はマネジメント思考で」でご紹介した「地域包括支援センター(包括)」にコンタクトを取っていただくことが、最もお勧めです。その後の問題解決がスムーズになるでしょう。介護のプロは目の前の状況を、貴方が決して持つことができない「他人の目」、つまり、客観的な正しい視点で判断してくれます(どのように正しい判断をして、どのような対応をしてくれるかは、次回以降でお伝えします)。

 ビジネスパーソンとして、ビジネスの場では常に客観的に、正しい判断を下せる人でも、親のこととなると話は別です。貴方の脳裏には、常に親が元気なころの、親と子という立場で生活していたシーンが再生されます。止めようと思っても「以前はきちんとできたのに、なぜ、今はできないの!?」という思いがあふれ、いら立ちや悲しみがあふれて、状況を客観視できなくなるのです。

次ページ 「親はプロ任せで放っておけ」? それは違います!