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 包括の助けを借りながら、「ステップ3:ケアマネジャーを探し、ケアプランを作成してもらう」まで到達しました。

 でも、まだ終わりではありません。介護保険による介護サービスを利用する際に必要な「ケアプラン(介護サービス計画)」をケアマネジャーや包括に作成してもらわなければなりません。

 通知された介護度が「要支援1・2」ならば包括が、「要介護1~5」ならば「ケアマネジャー」が「ケアプラン」を作成することになります。

 ケアマネジャーは、あなたの親御さんの介護に関するさまざまな相談に応じてくれます。同時に、ヘルパーや訪問看護師たちに指示を出す、介護生活の現場監督的な役割を担うため「仕事と介護の両立」を支えてくれるキーパーソンになります。イメージとしては、あなたが経営者だとすれば、実務を担当する執行役員、と言えば、どれほど重要なのかがわかるでしょうか。

介護の経営者として、あなたはどうしたいか

 「会社の目的」は経営者であるあなたが決めます。

 具体的には、親自身の思いを大切にしつつ、どう介護してどういう生活を送ってもらうか。そして、本業であるあなたの仕事や家庭に、介護が与える影響をどうコントロールして、サステイナビリティを維持するか。そのバランスを取り、状況の悪化をおだやかに抑えることが経営の目的となるでしょう。

 最初の回で申し上げましたが、経営者が腕まくりして仕事の現場に乗り込んでいくとだいたいろくなコトになりません。介護の場合、あなたが慣れない介護の実務に手を出しても、効率が悪く、精神的なストレスがマックスになり、あなたも仕事もご家族も、そしてなにより親御さんも、ダメージを受けてしまうでしょう。言い方は悪いのですが、目的に合った執行役員をうまくつかまえて、存分に力を発揮してもらうことが「経営の要諦」です。

 介護サービスを利用する本人や家族との信頼関係を築くことができる、すぐれたケアマネジャーと出会えれば、仕事と介護の両立に大いに希望が見えてきます。さあ、どんな方にお願いしましょうか……。

 ところが、最も重要な“執行役員人事”で、皆さんは高い壁にぶつかるのです。

 「要介護1~5」という結果が出て、ケアマネジャーを選ぶぞ、となった段階で、包括や役所から渡されるのは「ケアマネジャーのいる事業所の一覧表」。「どうぞこの中からお好きなところをお選びください」と言われるのです。

 いきなりの「突き放し」。「誰かを斡旋してくれるのではなくて、この中から自分で選ぶの?」と、困惑してしまうでしょう。ですが、包括は公的機関のため、中立公平な立場として、利用者にケアマネジャーを紹介することが難しいのです。

 でも、大丈夫! 安心してください。

 包括の職務のひとつに、「地域のケアマネジャーのレベル向上の支援」があります。そのため、包括の職員たちは地域のケアマネジャーのそれぞれの力量や得手不得手を把握していることが多いはず。

 そこで、ここでも大事なのは状況の共有です。自分の親がどんな状態で、何に困っているのかを詳細に職員へ伝えておけばおくほど、「このケアマネジャーはどうだろうか」と、アドバイスをもらえることもあるかもしれません。こう考えると、包括は人材コンサルタントでもありますね。どんな優秀なコンサルでも、情報がなければ「あなたの好きな方を……」と言うしかありません。