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 「お母さん、冷蔵庫の中、賞味期限が過ぎたものだらけだけど……」
 「お父さん、駅から家まで帰るのに道に迷ったって本当?」

 ちょっとおかしい、いままでこんなことはなかった、という出来事に気がついた。でも、単純な“ど忘れ”かもしれない。そうであってほしい。第一、こんな程度で誰かに相談していいものだろうか……。

 あるいは、もっとはっきり「財布がない、あなた盗ったでしょ!」と怒鳴られたり、自宅にいるのに「ウチに帰らなきゃ」と夜中に出かけようとしたり、という状況になっていても、なかなか、自分の家族のトラブルを他人に打ち明け、アドバイスを仰ぐのは気が重いものです。

自分ではなかなか決断ができないものですが

 私がセミナーでお会いした方で、「3つ先の駅で道端にしゃがみこんでいたお母さんを保護したと、警察から連絡を受けた」という体験をしても、まだ、ご自身で「介護の支援が必要だ」という気持ちの切り替えができなかった方が、実際にいらっしゃいます。外から見れば状況は明白でも、自分ではわからない。それが普通のことなのです。

 だからこそ、私は企業内の介護セミナーや個別相談で繰り返しお伝えしています。ここでも言います。親に異変を感じたら、とにかく「地域包括支援センターに電話をしてみましょう」。

 ……と言っても、やはり難しいですよね。そもそも「地域包括支援センター(以下、適宜、包括=ほうかつ、と略します)」という名前からして、何のためにあって、誰がやっているか、どういう機能を持っているのかがとてもわかりにくい。カンバンを見た記憶もおそらくないでしょう。「何、それ?」という感じだと思います。

 しかし「包括」というキーワードだけでも覚えておけば、いざというときに検索できるかもしれません。まさかのときには思い出してください。この言葉を頼りに、早め早めに行動を起こせば介護は「敗戦」に陥らずに済むのです。

包括は誰がやっている?

 地域包括支援センターは、地域の福祉相談(※障がい児、障がい者の方には別の窓口が用意されています)に「無料で」対応してくれる専門家が常駐している、公的機関です。

 「そんな便利なものがあったのか?!」と思われる方も多いのではないでしょうか。現役で働く世代からはなかなか馴染みがないかと思います。

 次に、どこにあるか。日本全国どこにでもあります。今お使いのインターネットで
「地域包括支援センター(スペース)親が住んでいる住所の●丁目」
 までを入力して検索すると、どこにお住まいでもまず間違いなく表示されます。