クルマが好きな人は多い。ドライブが好きな人は大勢いる。
 だがよほどのマニアでもない限り、クルマのシートを交換する人はほとんどいないだろう。
 読者諸兄の中で、ご自身が所有されるクルマのシートを交換された方はどれくらいおられるだろうか。恐らく5%にも満たないのではあるまいか。かく言う私も、クルマの運転を始めて42年目にして、初めて自発的にシートを交換した(十数年前に京都の知人から購入したアウディのオールロードクワトロは、既にレカロのバケットに交換されていた)。

 シートを交換した理由は簡単だ。バイクのトランポ用として購入したハイエースのシートが、長距離運転に向かなかったからだ。商用車であるハイエースのシートは、何よりも乗降性が重視される。もともと長距離を走るようには設計されていないのだ。

ご存じ、さまざまなカスタムを施したフェル号ハイエース。
ご存じ、さまざまなカスタムを施したフェル号ハイエース。
シートを交換した。
シートを交換した。

 マツダのムッシー虫谷氏に誘われて広島で開催されたバイクのラリーに参加した際、ハイエースにバイクを搭載して片道900キロの道のりを往復した。普段は特に腰痛持ちというわけではないのだが、さすがにこの時は腰にきた。特にバイクで野山を走り回った後の帰路がキツかった。腰骨を立てたり寝かせたり、いろいろと姿勢を変えながら運転したのだが、結局どんな姿勢でも変わらない。腰が痛くなるから休息の回数が多くなる。高速道路を早く抜けるコツは、ともかく途中で止まらないことだ。100キロに1回のペースで止まっているようでは、いつまでたっても家に帰り着けない。どげんかせんといかん。

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この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。