裏話をしよう。
 「自工会の話は2回で終わらせて、次はフェル号ハイエースに装着したバケットシートの取材に行きましょう」
 編集部との打ち合わせでは、このような話になっていた。無論私もそのつもりで準備を進めていた。何しろ(表向きは)地味な自工会の話である。大盛り上がりになるとは考えにくい。
 しかしインタビューの内容を記録したテープ起こしの原稿を読み進めていくと(文字数にすると、4万3000字を超えている)、これが非常に面白い。書き始めるとさらに面白くなってくる。日米貿易摩擦にまで話が及ぶとは夢にも思わなかった。
 かくして3回目に突入である。文字数も本数も自在なところがウェブ記事の利点である。
 それでは自工会特集の最終回に入ろう。

一般社団法人日本自動車工業会 特別参与 矢野義博さん(左)
一般社団法人日本自動車工業会 特別参与 矢野義博さん(左)

一般社団法人日本自動車工業会 特別参与 矢野義博さん(以下、矢):先にお話しした通り、私が自工会に入った1979年は、日本国内で造ったクルマを海外に輸出する台数が460万台でした。一方で日本のクルマの海外生産台数は40万台ぐらいでした。あれから40年以上たったいまでも、基本的に輸出は大きく変わっていないのです。

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):40年間も自動車の輸出台数は横ばいの状態であると。これは意外です。もっともっと増えているのかと思っていました。

:実は40年間変わっていないのです。ところが日本車の海外生産台数は1900万台にまで増えた。

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3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

 米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。

 3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。

 4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。

 各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。

■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江

■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也

■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。