世界最高峰の自動車レースであるF1(フォーミュラ1)世界選手権。
10チーム20台が争うそのレースに参加できるのは、厳しい競争を勝ち抜いてきた精鋭中の精鋭である。現在「唯一の日本人F1ドライバー」として活躍するのは、弱冠22歳の若き天才角田裕毅選手。今年でF1参戦2シーズン目となる角田選手に、「F1発祥の地」である英国シルバーストン・サーキットで単独インタビューを行った。
フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):プラクティス前の貴重なお時間をいただき感謝します。フェルディナント・ヤマグチと申します。
角田裕毅選手(以下、角):覚えていますよ。確か3年前にも一度インタビューしていただきました。
角田選手はよく覚えている。
実は3年前。角田選手がまだF3の選手時代にスペインはバルセロナ、カタロニア・サーキットでインタビューを実施している。ただ、その時は時間差で同じくカタロニアF3でインタビューをした名取鉄平選手の話を優先し、結果的に角田選手の話はボツにしてしまった経緯がある。
当時の角田選手はまだ非常に粗削りで、所属していたF3チームに対する不平不満を並べ立てるような話ばかりで、とても記事にできる内容ではなかったのだ。
一方の名取選手は年齢の割に如才がなく、聞き手からすると非常に「記事にしやすい」インタビュイーであった。だから今回の角田選手へのインタビューが決まったときも、「果たして記事にできるのだろうか……」といささかの不安があったことを白状しておく。

F:以前角田選手にお話を伺ったのは、F3開幕直後のバルセロナでした。F3を経て、F2、ついには最高峰のF1と順調にステップアップされてきた。本当に素晴らしいことだと思います。
角:ありがとうございます。
F:F2とF1の車両の違いを教えてください。実際に両方のクルマに乗られて、具体的にどれくらい違うものなのですか。運転された印象をお聞かせください。
角:市販車に例えると……例えばお世話になったホンダのクルマに例えると、軽トラのアクティとシビックタイプRくらいの差があります。
F:軽トラとシビックタイプR。これは分かりやすい(笑)。
角:加速、ブレーキ、ハンドリング。もう何もかもが大きく違う。F1とF2は、比較すること自体に意味がないくらいに次元が違うクルマです。初めてF1の車両に乗った時の印象は今でもハッキリ覚えています。「うんとお金がかかっているなぁ」というのが率直な感想です(笑)。
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