:それも先程お話ししたテレレバーのおかげです。エンジンとフロントフォークの間に通った三角形の足回り。普通のサスペンションは車体の前にフロントフォークがあって、その先にタイヤが付いていて、フロントフォークの付け根の後ろのほうにエンジンがありますよね。長い棒の先にタイヤ、その反対側が車体と連結する付け根。ブレーキを掛けると、タイヤは止まろうとして後ろに力が加わり、反対に車体のほうには慣性が働いているから付け根の部分は前に進もうとする。長い棒の先に逆向きの力が加わるんです。当然その棒はしなってしまう。

F:なんと! あの金属の太い棒が内側に曲がるということですか?

(画像:BMW Motorrad)
(画像:BMW Motorrad)

 ここでテレレバーの図解をしておこう。

 テレレバーは簡単に言うとスイングアーム付きのフロントサスペンションだ。おにぎりの先端が左右のフロントサスを渡る橋であるロアブリッジ部に差し込まれ、下の両端がエンジンの付け根に当たるトリプルクランプ部にボールジョイントで締結されているのがお分かりいただけよう。フロントサスの長い棒の真ん中に、強力な“支え”があるのだ。自動車のサスペンションのダブルウィッシュボーンに近い構造だ。

:そうです。実はフロントフォークって曲がるんです。しなって内側に入ってくるとどうなるか。前後のタイヤの距離、ホイールベースが変わりますよね。ホイールベースが短くなる。でもそれは決して悪いことではありません。なぜならホイールベースが短くなることによって、回転しやすくなるからです。コーナーの前でブレーキを掛けて減速する。フロントサスが沈み込むと同時に後ろに撓(たわ)んでホイールベースが短くなる。コーナリングしやすい体勢になりながらコーナーに入り、次はコーナー出口でアクセルをグワッと開ける。そうすると今度は車体が伸びようとするからホイールベースもグワッと伸びるんです。そうすると車両は自動的にこうフッと立ち上がっていくんです。

F:でもGSにはそれがない。なぜならフロントサスの真ん中にテレレバーがあるから。つっかい棒があるから。だからフロントサスがしならない。ホイールベースが変化しない。

これは買うしかないかな……

:その通りです。だからGSに乗るとコーナーではライダーが自分で車体を倒して、またコーナー出口では自分で起こしているんです。無意識のうちに。他のバイクはアクセルを開けると車両が自然に起き上がってくるのですが、GSにはそれがない。ホイールベースが変わらないから。

F:遠心力で立ち上がることはないですか?

:遠心力も多少は効きますが、基本的に自分がそのポジションにいたら、いつまでもずっと回っていられます。ぐるぐるぐるぐる。いくらアクセルを開けても、体は全然上がってこない。定速でずっと曲がっていられます。だから自分でバンク角を好きに調整できるんです。

F:なるほど。だから乗りやすい。実際は重いけれども乗ると軽く感じるのもそのためですか。

:そうです。だから乗りやすいんです。気を使わなくていいのです。自分の動きでバイクを好きに動かせるから。

F:何か一段階上手くなったような気がしますよね。一緒に乗りに行った仲間が、「フェルさん上手くなったねー」と言ってくれたのですが、あれはバイクのおかげだったのか……。こうなりゃもうGSを買うしかないか(笑)。

BMW広報前田さん:まいどありがとうございます。実は11月の初旬に秋の特別商談会を予定しておりましてですね、開催期間中にご来場いただいて、試乗かお見積もりされた方には記念品をプレゼントするという……。

F:今ここで記念品だけもらえませんか?

:ダメです! 会場に来てください!

※秋の特別商談会は昨日(2021年11月7日)で終わりました。記事のタイミングが悪かったですね。残念でした(笑)。

F:何かいいことずくめのように聞こえますが、テレレバーはそんなにいいのですか? 他のメーカーは追従してきませんよね。テレレバーのデメリットを教えてください。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2945文字 / 全文7023文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

セミナー開催 フェルディナント・ヤマグチ流「部下育成」!

 本コラムの著者、フェルディナント・ヤマグチ氏が「日経ビジネス課長塾オンデマンド」主催のセミナーに登壇します。

 今回、課長塾オンデマンドではあえて、「企業人としてのヤマグチ氏として、登壇してください」とお願いしました。なぜならヤマグチ氏は、「コラムニストとの両立」という多忙な生活を、20年もの長きに渡り成立させてきた人だからです。本セミナーでは、そんなヤマグチ氏ならではの(仕事についての)方法論に迫ります。

 とはいえ講演時間は、わずか1時間。そこで今回は、「部下育成」にテーマを絞って話していただきます。部下やチームのマネジメントにお悩みの方は、ぜひご参加ください!






>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。