リクルート自動車総研の所長である西村泰宏さんとの対談で、昨今の若い方がクルマを購入する際、「新車にするか、それとも中古車にしようか」、と思い悩むことがほとんどないという非常に興味深いお話を伺った。そもそも新車vs.中古車なる「対立構造」自体を好まない、と。

 それでは我々オッサン世代はどうか。中古車を選ぶ理由は単純に安いからなのか。

 逆に中古車を選ばない人は、他人が乗っていたクルマは気持ちが悪く、ポンコツを掴まされる可能性があるのを恐れてのことなのか。

 今回はこの辺りからお話を伺おう。

リクルート自動車総研所長 西村泰宏氏(左)
リクルート自動車総研所長 西村泰宏氏(左)

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):前半では最近の若い方のクルマの選び方を教えていただきました。それでは我々オッサン世代はどうか。中古車を買うのはあくまでコスト重視。安く買えるから、ということなのでしょうか。

リクルート自動車総研所長 西村泰宏氏(以下、西):コストが重要な要素であることは間違いありません。でもそのコストの裏側には、“クルマの好きさ加減の熱量”があるのではないかと思います。どうせ買うなら、あのクルマが欲しい。あのグレードが欲しい。あのターボが付いているモデルがいい。GT2とかGT3とかの役付きモデルがいい、と。

 そうなると、どんどん値段は高くなってしまいます。せっかく買うならばあれが欲しい。でもさすがにそこまでのお金は出せない。コスパを含めて考えると、じゃあ中古車でそのモデルを買おうか……となる。もちろん中古車を買うのは単純に安いから、という人もたくさんいると思うのですが、一方で「好き」の裏返しの方も多いのではないかと。何か残念な感じで買い下がっているとか、やむなく折り合っているだけではないと思うんですね。

F:クルマの好きさ加減の熱量、なるほど。これはいいキーワードです。

西:そしてそのコスパというものが意味するところは、パフォーマンスを上げるために調整したいという人もいると思うし、コストロックが掛かっているから、パフォーマンスを下げてでも、そのコスト内で見合うものを探したいという人もいると思うので。

 この分母と分子をどのようにコントロールしているかというのは、クルマの好きさ加減とか、経済のゆとり加減とか、それらを総合して、「クルマに対してどのぐらいのお金を掛けたいか」というのが、人によって全然違ってくると思うんです。

F:そうそう。自動車エンゲル係数は人によってまったく違う。年収600万円の人が頑張って600万円のクルマを買うことだってあるし、コミコミ上限100万で探すことだってある。「年収600万はみんなこの価格帯」なんてことは絶対にない。

中高年にはライフイベントがたくさん

西:そう。グラデーションはもちろんあると思います。だから、先ほどの……東工大の柳瀬教授でしたっけ……? その方の投稿にコメントした人のように、すごく一元的にざくっと、「若者は今の新車に魅力がないから興味がないよ。だから中古車を買うんだよ」、みたいな単純な構造にはなっていないと思うんですよね。それと同様に、中年層が中古車を買う際も、単純に「安いから」ということだけではないと思うんです。

F:なるほど。「安いから」だけではない。

西:そういう意味では二極化していますよね、中高年層は。クルマが好きで、やっぱりクルマにお金を費やしたいという人もいれば、さまざまな制約の中で、好き加減とか興味を下げざるを得ないというか……そういう人もいる。

F:ずいぶん慎重に言葉を選んでいるご様子ですが、要するにカネがない中高年ということですか。

西:そこまであからさまな話ではありません。30代40代はさまざまなライフイベントが訪れて、50代になると、それが徐々に落ち着いてくる。子供たちが巣立って、家計にも余裕ができて、もう一回マーケットに戻ってこられる。その時に一度憧れのスポーツカーに乗りたいと思うのか、いやもうトシだし必要ないからクルマはいいや、となるのか。