F:確かにEVっぽい出だしの感覚ですよね。走り始めはやはりモーターで出るんですよね。

:いえ。モーターだけで走ることはありません。再始動が非常に静かで速いので、気づかないだけなんです。セルが回る際のキュルキュルキュルがないので。

F:そうか。エンジンとモーターがベルトで繋がっているBSG(ベルト駆動式スターター)は、走るモーターでエンジンも回しちゃうから……。

:そうなんです。繋がっているから、そのベルトでエンジンを押し掛けするようなイメージです。今まではアイドリングストップからの復旧って、ちょっとラグがありましたよね。今回のゴルフはそれがないので、本当の意味での快適性を感じていただけると思うんです。

F:確かに「あ、今掛かったな」と感じることがありませんでした。それくらい自然でシームレス。利いていることが分からない。これは大きいです。

:マイルドハイブリッドですから、もちろん燃費も向上するんですけれども、そういうドライバビリティーの良さにも注目していただけると嬉しいですね。

F:マイルドハイブリッドではない“役付き”のゴルフ。こちらはこれから日本に来るのですか?

:役付きゴルフですか(笑)。GTIはFFで245馬力。Rになるともっと上で、四駆で320馬力。パフォーマンスもかなり違います。両方とも日本に導入すべく準備しています。GTIについては年内に入れられるかな……ぐらいの準備状況です。

F:GTIが来たらぜひ試乗したいです。あれはいいですよね。すごく楽しい。

:はい。やはりGTIは特に根強いファンの方が多いですね。

F:山下さんのお店なんて、GTIのお客さんばかりじゃないですか?

値段が同クラスでも、横のクルマに目は行かない

 今回の取材には、フェル号の主治医であるゴルフとアウディの専門店、maniacs STADIUMの山下さんにも同席いただいている。

 フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)の山谷さん、maniacs STADIUMの山下さん、日経BPからはマイトのYこと悲劇の担当編集山中氏。そして不肖フェルディナント・ヤマグチ。さらに立ち会うVWJの広報は山神さん。山谷山下山中山口山神。当日は「山」が名字の人間のそろい踏みだったのである。いえ別に深い意味はありません。

マニア山下:ウチのお客様はGTIよりRの方が多いですね。一番良いものを欲しいというか……一番高いゴルフを欲しいという方が多いです。

F:一番高いゴルフか……。ゴルフVIIのRでも約600万しましたよね(※2020年に終売、昨年5月時点での販売価格は税込み590万9000円)。そこまで出すのなら、アウディの速いのにも手が出ると思うのですが、それでもゴルフを買うんだ。

マニア山下:そこはちょっと違うんですよね。ゴルフが好きな人はあくまでもゴルフであって、他のクルマには目もくれない(笑)。値段が同じだからブランドイメージが高そうなこっちにするか、という考えはありませんね。それにゴルフRって、実は非常にお得なクルマなんですよ。あのスペックであの価格というのは、他のクルマだとちょっとあり得ない。

:そうですね。ほかのメーカーさんに比べると金額はかなり抑えめになっていると思います。山下さんのおっしゃる通り、一番高いものと言ってRを買ってくださる方もいらっしゃいますし、FFと四駆だと全然走りが違うので、やっぱりFFの走りを求めてGTIという方もたくさんいらっしゃいます。

 山下さんがおっしゃった「ゴルフが好きな人はあくまでゴルフ」というお話は本当にその通りで、今ゴルフVIIIをご注文いただいているお客様も、ゴルフの既納客の方が非常に多いですね。

F:「既納客」という言葉があるんですね。既に買ってくれた客。その人がまたゴルフを買えば、それはつまりリピーターと。

:はい。今ゴルフに乗られている方が決め打ちで買ってくださるという。

 ただ、今はやっぱりSUVのブームが来ていますので、同じフォルクスワーゲンでもゴルフからSUVへ行く方も増えています。我々もSUVのラインナップをかなり幅広いレンジで持っているので、そちらを選ばれる方も多いんです。ゴルフに一番近いSUVだとT-Rocになりますかね。T-Cross、T-Roc、Tiguanと「SUV三兄弟」があるのですが、T-Rocが一番近い。一番小さいポロクラスに当たるのがT-Crossです。今までゴルフに乗られていた方がT-Roc等へ行かれる方もいらっしゃいますが、逆にSUVからまたこのハッチバックに帰ってこられるお客様も少なからずいらっしゃいます。

F:それはなぜでしょう。