梅:いやまぁそういうことじゃなくて(苦笑)。それじゃ今度は直線のコースへ行きましょう。
滑走路のように長い直線路だ。見晴らしが良く気持ちがいい。

梅:これから体験いただくのは直進です。実は直進でもGVCは効くんです。
F:急加速時、急減速時に効くということですか。
梅:いえ、ただ普通にまっすぐに走っているときでも効くんです。
実は自動車において、「完全な直進」というのはあり得ないんです。どんなにまっ平らな道でも、クルマは常にユラユラしながら走っています。だから常に修正が必要なんです。その微小な領域でもこのGVCは効くんです。今からそれを体感していただこうと思います。さ、また運転を替わりましょう。
小型の飛行機なら楽勝で離着陸ができるような直線路へ入る。
長さは約1500メートル。滑走路に迷い込んでしまったような不思議な気分だ。
梅:このような直線路を走っていても、やっぱり修正舵が必要なんですね。人間はなぜ修正するか。なぜ修正したくなるのか。それはクルマの進む方向が不規則に変わるからです。進む方向が変わらないように、ちゃんとピッチングでコントロールしてあげれば、安心感が増すということです。
F:いやでも私、今まったく舵を当てていませんよ。ハンドルはぴったり真ん中で、ただ手を添えているだけなんですけれど。修正舵なんて当てていません。
梅:あはは、今はGVCがオンになっているからですよ。GVCが効いているんです。だから何もしなくてもまっすぐ走るんです。いやフェルさんの反応は面白いですね(笑)。
F:え……あ……そうでしたか(汗)。
直線路を時速100キロで普通にまっすぐ走っている。でもクルマってこんなものではなかったか。他のクルマだって、これくらいまっすぐに走らなかったか。

梅:この辺りで減速してください。はいあそこで大きく右ターン。今度は時速100キロで速度を一定にしてください。今GVCが入っています。それじゃここで切りますよ。はい、切りました。
この凄さは世間に1ミリも伝わってませんよ!
梅津氏が膝に乗せたパソコンを操作し、GVC機能をオフにした。
途端に……クルマが揺れ始めた。「揺れる」、と言っては大げさだが、「ハンドルを手に当てているだけ」では済まない、揺動が発生し始めた。
F:うわ。ウソ! なにこれ!
梅:こういうことなんですよ。これがGVCです。直線でも効くんです。
F:……マジこれ……凄い、凄過ぎる。
梅:マジです。びっくりでしょう(笑)。
F:これは凄い。ヤバい。修正舵って無意識にここまで当てていたんだ。ショックです。
梅:今度はフェルさんの好きなタイミングでオン・オフしてみましょう。もう1周します。
高速走行中に何度も何度もGVCのオン・オフを試させていただいた。
直線でもものすごく効く。無意識の修正舵をここまで大きく当てていたとは衝撃だ。
“無意識”を“意識”したのはこれが初めてだ。
さらには時速100キロ超での高速レーンチェンジ。明らかに舵角が少なく、揺れが小さい。
スッと曲がる。ピタッと収まる。凄い。素晴らしい。
梅:直線でも効いているというのが体感できたと思います。僕らはこれを普段やっているんですよ。こういう領域の評価を僕らテストドライバーはやっている。この領域でいかにまっすぐ走るかということを。
F:これは凄いなぁ。本当に凄い。でもこれ、この凄さは世間には1ミリも伝わっていませんよ。MX-30は単に乗り降りの不便な、航続距離の短い中途半端なEVだと思われている。もっと走りの部分をアピールしたほうがいいですよ。ああもったいない。
Powered by リゾーム?