ベクタリングするのは、トルクではなくて加速度です
梅:フェルさんの言うことも分かりますよ。そういうドッカン感覚を求めるお客様が一定数いることも分かる。でも僕ら、結局量産EVとしては後発になったじゃないですか。テスラとかがある中で、このクルマでそれをやったって仕方がない。このクルマは4輪車としてのスムーズな動き、今感じていただいているGVCのバネ、ロールとピッチがちゃんと連携する動きを最も大切にしているんです。そこにアクセルをポンと踏んだときに、すごいピックアップを入れたりしたら、すべてが台無しになってしまう。さっきからフェルさんがすげーすげーと叫びっぱなしのこの滑らかな動き。これはこのアクセルの滑らかな応答とちゃんとつながっているんです。
F:そこにドッカン感覚を入れたりしたら……。
梅:もう台無しです。全てがバラバラになってしまう。このGのつながりが……。
そもそもGって何かっていう話なんですよ。みなさん前後Gだとか横Gだとか勝手なことを言っていますけど、それは全部つながっているんですよ。切り離して考えるべきものじゃないんですよ。
F:なるほどねぇ……。するとマツダのG-ベクタリングというのは……。
梅:全てつながっているんですよ。回すんですよ。G-ベクタリングの意味は、読んで字の如く“Gをベクタリングする”という事です。Gの方向を制御するんです。だから「トルクをベクタリングする」なんて言うのはそもそもがおかしな言葉なんですよ。
F:トルクベクタリング。トルクをベクタリングする。ベクタリングはベクトルのingですから。トルクの配分と解釈すれば、それはそれで理解できませんか。
梅:いや、その言葉はやっぱり間違っていると思う。これは欧州のメーカーが勝手に言っていることなんだけれど……。
F:イーネ! イーネ!(横山剣調)。
梅:トルクベクタリングというのは、もともとDYCという技術なんですよ。ダイレクト・ヨーモーメント・コントロールという技術。左右のトルク差をつけてヨーをつくるという、簡単に言うと戦車の動きですよね。それを造ったのは日本人です。ホンダの芝端(康二)さんという方と、それから三菱(自動車)の澤瀬(薫)さんという方。この2人が造った技術です。
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3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。
3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。
4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。
各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。
■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江
■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)
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