マツダでは「マツダが良しとするクルマの走り」を社長始め役員から社員に至るまで教え込む「骨太講座」という特別なスクーリングが開催されている。いわゆるドライビングレッスンではなく、マツダのクルマの味付けの原点や、「快適なクルマとは何か」を詳細に解説してくれる、非常に興味深い内容のものである。

 しかもそれは、学校の授業のように教室で話を聞くのではなく、実際にクルマに乗り、生徒が交代で運転しながら進められるのだという。無論完全に社内向けのもので、社外の人間が受講する機会は皆無である。

 その存在を広報カット町田氏がある時ポロッと口にした。
 「あれはすごく勉強になりますよ」とウットリ遠い目で話した。
 クルマの中で行われる超クローズドな講座である。大変興味深い。

 これを聞いたが百年目。シツコクシツコク食い下がってお願いし、今回特別に取材させて頂くことと相成った。本来は1泊2日の合宿制で、朝から晩までミッチリ行われるものなのだが、何しろ講師となる先生は多忙である。さすがにそこまで独占することはできない。お昼休みを挟んで、午前2時間午後2時間のショートカット版を編成して頂き、我々凸凹トリオは勇躍三次のマツダテストコースへと乗り込んだのである。

構内は撮影厳禁、唯一OKだったゲート付近でパチリ。

 一刻も早くクルマに乗って教えを請いたいところだが、しかし寒い。広島は思ったよりも100倍寒い。聞けば県内にはスキー場もあるのだという。マイトのYなどはそれこそミノムシのよう着込んでいる。しかし現れた虫谷さんは半袖シャツ一枚だ。サッカー選手は寒さに強いのだろうか。

F:初めまして、このたびはお世話になります。フェルディナント・ヤマグチと申します。

虫谷さん(以下虫谷):どうも初めまして。わざわざ広島までご苦労様です。

人馬一体の“統括”登場

マツダ 車両開発本部操安性能開発部 主幹 虫谷泰典さん

 骨太講座の講師として、マツダの「人馬一体」の走りの味を決め、守り、伝えているのが虫谷泰典さん。もともとはサッカー選手としてマツダに入社された異色の経歴の持ち主だ。所謂実業団サッカーの選手だったので、入社当初は「週に1日くらいしかマトモな仕事はしなかった」とのことである。ご存知かどうか。Jリーグのサンフレッチェ広島は、名門東洋工業サッカー部が母体となっている。

 さささ、寒くないスか?いえべつに。いつもこのカッコですから。コースが使えるのが昼からなので、まずはお話ししながら昼飯を食べて、そこからはクルマに乗ってやりましょう。こんな段取りで会議室から講義は始まった。

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