新しいレヴォーグは本当によくできている。
 今までのSUBARUにはない、しっとりとした高級車の味わいがある。スタンダードなGTで310万2000円。最高級版のSTIスポーツにアイサイトXを付けると400万を超えてくるが、私はこの価格を「激安」だと思っている。プラス100万円の欧州車と比べても、全く遜色のない乗り心地だ。

 しかし。だがしかし。相変わらず燃費が悪い。どうしてSUBARUは燃費が悪いのか。
 今回はこの辺りの(SUBARUにとってはちょっとイヤなことも含めて)お話を伺おう。

SUBARU商品企画部 プロジェクトゼネラルマネージャー 五島 賢さん
SUBARU商品企画部 プロジェクトゼネラルマネージャー 五島 賢さん

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):しかし新型のレヴォーグはいいですね。踏めば弾けるように走るのですが、しっとりと落ち着きのある乗り心地が魅力的です。

SUBARU商品企画部 プロジェクトゼネラルマネージャー 五島 賢さん(以下、五):ありがとうございます。初代はどちらかというとスポーツに寄せ過ぎたところがあって、やっぱり乗り心地とか静粛性に関してはご満足いただけない部分もあったんです。走りがいいからご主人は絶対に買いたいのだけれども、奥様が首を縦に振らないという話を販売の現場からたくさん聞きました。試乗していただくと、ご主人はもう買う気満々でニコニコして降りてこられるのですが、奥様のほうが「ちょっとねぇ……」と(苦笑)。

 そして現場のセールスマンが「奥さん、このクルマはワゴンの格好をしていますけど、本当はスポーツカーなんですよ」と説得してしまう(苦笑)。

F:褒めたつもりが逆効果。「ウチはスポーツカーなんて要りません」となってしまう(笑)。

:そうなんです。そんな話もたくさん聞きました。だから今回は、奥様をどう攻略するか、ということを重点的に考えたんです。たいていのご家庭では、奥様が自動車購入の最終決定権を持っていますから。

F:奥さんは家庭の大蔵大臣。や、今は財務大臣か。

:我々は奥様のことを社内で「家庭内競合」と呼んでいるんです。本当の競合はトヨタさんでもマツダさんでもない。最大の相手は奥様である、と。奥様を説得し、納得していただけないとクルマは売れないんです。これは本当にそうなんです。

全員を満足させて、家庭内競合を乗り越えろ!

F:奥様攻略のキーワードは「乗り心地」ですか。柔らかくないとダメですか?

:乗り心地もそうですし、インテリアもそう。今回少し面白いのを入れたのは、STIスポーツのドライブモードセレクトというキャラクターを変えるシステムがあるのですが、あれに連動するエアコンです。

 車内の湿度が上がってくると、窓が曇りますよね。曇るギリギリまで内気循環にして、曇りそうになったらそこで外気を入れるという仕組みにしてあります。曇るギリギリまで湿度を維持してお肌の乾燥を防ぐんです。あとは頭寒足熱。アンケートを取ると「足が寒い」という声が圧倒的ですから、マイルドモードにすると足元から少し暖かめの風を出して、顔は涼しめの風を出すという。

「ドライブモードセレクト」の一番下、「エアコン」に「Mild」の設定がある。(画像:SUBARU)
「ドライブモードセレクト」の一番下、「エアコン」に「Mild」の設定がある。(画像:SUBARU)
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F:そこまでやる……。要するに「奥様モード」ですね。

:いや実は我々も最初はそのようなネーミングも考えたのですが、ジェンダー的によろしくないだろうと。それでマイルドモードという名前に落ち着きました。

F:ジェンダーね。まぁ女性がすなわち奥様ではないし、男性でお肌に気を使う人もいますからね。

:何にしてもご主人はレヴォーグを欲しくて欲しくてしょうがない。でも奥様はそうでもない。そんなときに「このような機能もありますよ」と提示できる機能が必要だったんです。

F:厳しいなぁ……。走りや内装がいくら良くなってもクルマはそう簡単に売れないんですね。なんか生粋のスバリストが聞いたら愕然とするような話ですが、現実問題、奥さんが運転するシーンも多いでしょうからね。通勤に使わないのであれば、平日はほとんど奥さんしか乗らないかもしれないし。

:そうなんです。何台もクルマを持てるのであればいいのでしょうが、駐車場や維持費のことを考えるとそうもいきません。ご主人はスポーツ系が欲しい。奥様は乗り心地の良い高級車が欲しいというときに、本当に家庭内競合になったらどちらかを選ぶかしかなくなっちゃうのを、1台ですべて賄いますよということになれば、そこにチャンスが広がるんじゃないかと思いまして。

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