みなさまごきげんよう。
 フェルディナント・ヤマグチでございます。
 今週も明るく楽しくヨタ話からまいりましょう。

 唐突ですが、空手で突きを出す際の、“引き手”の意義をご存じでしょうか。
 右手で突く時は反対側の左手を強く引く、あの引き手です。
 身体を捻って強力なパンチを繰り出すためにやるのだろう……とボンヤリ思っていたのですが、実は引き手には深い“存在理由”があったのです。

糸東流世界空手道選手権大会の覇者である西内真由(にしうちまさよし)氏。身体能力がハンパじゃありません。2mくらい離れた場所からでもノーアクションでスッと顔面にパンチが飛んでくる。動き出しがまったく分からない。絶対に避けられません。街でケンカになったら5秒で殺されます。

 琉球が発祥の伝統空手。その昔は今の空手着のようなものではなく、袖の大きないわゆる“琉装”で組手をやっていたそうです。右手で突く際は、相手を袖左手で絡め取り、強く引いて体勢を崩した上でパンチを入れる。強烈なカウンターになりますから、普通に当てるよりも倍のダメージを与えることができる。

「どんな攻撃でもいいです。試しに僕に襲いかかってみてください」と言われ、右手で殴りかかった直後の写真。痛てててて。こりゃ敵わん。いやプロというのはエライものです。

 いまでも伝統系の空手は引き手を基本の「き」として指導しています。
 しかし多くの指導者はこうした「発祥」を知らずに、単に捻転の動作としての引き手を教えているのではありますまいか。大阪商業大学で空手漬けの青春時代を過ごした西内氏ならではのご指導でありました。痛かったけど勉強になりました。ありがとうございました。

 ということで本編へとまいりましょう。
 バイクの話が続きます。
 日本が生んだ世界の天才レーサー、宮城光氏のインタビューです。

続きを読む 2/5 なんでフェルさんがこの歳でここまでハマったのか

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り3668文字 / 全文7408文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。