みなさまごきげんよう。
フェルディナント・ヤマグチでございます。
今週も明るく楽しくヨタ話からまいりましょう。
飛び石連休初日の木曜日。フルモデルチェンジしたHONDA CRF250 RALLYで林道を走って来ました。
パッと見は変わりませんが、中身は大きく進化したCRF250 RALLY。うんとオフロード寄りに振ってきた印象があります。その分、高速道路での走行は旧モデルのほうがビシッと安定してラクだったかな。
このバイクは本連載で取り上げます。たくさんのバイクに乗ってきましたが、諸般の事情があり本編でバイクの記事を書くのはこれが初めてになります。ご期待ください。
林道から帰宅してサッとシャワーを浴びて、そのまま奥志賀へ。今回はレンジローバーのPHEVで行きました。デカくて重いクルマなのに、本当に燃費がいい。往路はリッター11キロ。復路は実に12キロも走りました。普通のガソリン仕様車の軽く倍は走るのではありますまいか。
カリカリに凍った道をイイ感じに飛ばしていけました。昔は“砂漠のロールスロイス”なんていわれていましたが、今はロールスがSUVを出しちゃったからなぁ。何と形容したらいいのでしょう。
奥志賀高原スキー場では金土日と3日間完全なるピーカンで、それはそれは気持ちよく滑ることができました。ファーストトラックもほんの少しだけ。HEADの板もキレキレです。これは本当に買ってよかった。そろそろニューモデルが発表になるので、見に行かなくちゃ。
ビシッと整備された奥志賀第4上。エンジンのパワーで走るバイクも楽しいけど、重力だけで滑り下りるスキーもやっぱり楽しいですね。
奥志賀といえば定宿のホテルグランフェニックス奥志賀。こちらにあるイタリアンレストラン「ラ・ステラ・アルピーナ」の名物ランチメニューである牛タンシチューが商品化されたのでご紹介。
召し上がったことがある方はご存じですよね。ここのシチューは本当においしいんですよ。
それが家で食べられるなんて! 何でも日本でも数少ない特別なパッケージ技術を持つ会社を見つけて、そこでもやり取りを重ねてようやくお店の味が再現できたのだとか。技術の進化は食の世界でも進んでいるんですな。こっちの世界の取材も面白そう。
グランフェニックス奥志賀の田島伸浩副社長と。慶應義塾大学体育会スキー部出身で、死ぬほどスキーがうまいです。
さてさて、それでは本編へとまいりましょう。
ここから少しバイクの話が続きます。
今回は私をバイクの世界に誘ってくれた、林道俳優大鶴義丹氏との対談をお送りします。
バイクの免許を取る人が増えている。
特に50代、60代の中高年層の伸びが顕著で、2019年時点で、50歳代の取得件数は9年連続で増加しており、取得者数は年間1万件を超えている。この数字は10年前の実に2倍以上である(参考:「バイクのニュース」)。
2020年の集計データは6月にならないと発表されないが、さらに数字が増えていることは間違いあるまい。
かく言う私も50代ギリで大型免許を取得した遅咲き組である。
遅咲きの上にドップリとハマってしまったので、遅咲きの狂い咲きだ。
こうなったのは、すべて大鶴氏に原因がある。
「バイクに乗ろうよ!絶対に楽しいよ。フェルちゃんには絶対に合っているから」
彼に数年越しで口説かれ続け、昨年の5月についに大型免許を取得した。
以降のハマりぶりは、毎週の前段ヨタ話でご覧の通りである。
なぜ今バイクなのか? 大鶴義丹氏にお話を伺った。
悲劇の担当編集マイトのY(以下、Y):大鶴さんのお誘いでフェルディナントさんがバイクの世界に入っていきました。我々編集部の人間も40代、50代が多く、“バイクの黄金期”を知る世代が中心なので、やっぱり心のどこかに二輪への憧れというか、懐かしさのような感情があるんですよね。
フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):Yさんは実際に乗っていたんでしょう? 若い頃に。
Y:ええ、大学時代にクルマと一緒に中免を取って、ホンダのCBX250S、次にVFR400に乗っていたんです。でもこの歳だし、いまさらなぁ……なんて思っていたら、フェルさんは免許を取ったら毎週林道へ行くわ、モトクロス場へも行くわ、次々とバイクを買っちゃうわで本当に楽しそうにしていて。
F:いやバイクは本当に楽しい。
なぜバイクをフェルさんに勧めたのか
Y:バイクの話が始まって以来、おかげさまでこの連載も非常に盛り上がっていて、ファンの方も多くて、その中にはバイクに現役で乗っていらっしゃる方や、今まで興味がなかった方も、なんとなくじわじわとフェルさんの熱に当てられているような感じがするんですね。実際にバイクに関するコメントはとても多く、しかも詳しい方が多い。
そもそも大鶴さんはなぜフェルさんをバイクの世界に引っ張り込もうと思ったのか。それから引っ張り込んだ後のケアが、まあ、端で見ていてもうらやましいというか、大鶴さんの面倒見の良さは、本当に徹底しているじゃないですか。どうしてフェルさんにそこまでするのか。
F:メチャ手厚く扱っていただいて、基礎の基礎から教わっています(笑)。
Y:この辺は大鶴さんのお考えと、フェルさんの性格みたいなものの相乗効果だと思うんですが、教えるときにどのようなことに気を使ってらっしゃるのかと、もしあればフェルさんに対する愚痴も含めて、聞かせていただけたらと思いまして(笑)。
大鶴義丹(以下、義):フェルちゃんの前に、まずは時代背景からお話します。新型コロナの影響もあって、基本的に今はうっすらとバイクブームになっています。実際にバイク屋もアフター・パーツ・メーカーも、ホントは結構もうかっているんです。ただ、こういうご時世なので、皆さん決して派手には振る舞わない、だけど通販から何から基本的にはとてもよく売れているんですね。
F:バイクだけでなく、用具もそうですか?
義:ええ、バイクも用具もアフターパーツも、すべてが売れています。フェルちゃんだって、よく買っているじゃない(笑)。
F:確かに買っています。ブーツやらウェアやら小物やら、いろんな物がちょこちょこ必要ですものね。この半年で40万~50万円は買っている。
義:でも彼らもそこは意外と冷静で、これから本当に不景気になったら、そのうちバイクどころじゃなくなるから、この先はどうなるんだろう、とビビっているところもありますよね。この勢いは本当にコロナ特需、巣籠もり特需みたいなものだと達観している部分があって。
ただ、たった今は本当にすごい。特に林道が盛り上がっています。フェルちゃんと山に走りに行っても、最近は必ず他のバイクに会うでしょう。ほんの4年前までは決してそんなことはなかったんです。この2~3年でイッキに盛り上がってきた感じです。昔はハイシーズンの日曜日だって、人に会うことなんてめったにありませんでした。
Y:そもそもオフロードの魅力というのはどこにあるのでしょうか? 行き帰りも結構な距離を走るし、山に行けばバイクはめちゃめちゃ汚れるでしょうし、転倒やケガのリスクもあるし、素人目にも「すごく怖くない?」「危なくない?」という感じに見えるんですけれども。
オフロードはハードルが低くて奥が深い
義:今回フェルちゃんが買ったハスクバーナというバイクとか、僕らがやっているエンデューロというジャンルだとちょっとマニアック過ぎるので、なかなか一般に魅力が伝わらないところがあると思うんです。実はオフロードと一口に言っても、非常に幅広いものなんです。うんと極めた先の先の領域から、林道散歩まで、幅があるんですね。
Y:なるほど。オフロードと言ってもいろいろある。
義:ええ。僕はオンロードでサーキット走行もやっていたので分かるんですけれども、サーキットの走行なんていうのは、本当に上のレベルの人しか楽しめないんですよね。普通にスポーツ走行会とかでサーキットを走ったところで、何も起きはしない。単なる高速道路、ぐにゃぐにゃ曲がった高速道路を回っているようなものなんです。
Y:面白い。
義:やっぱりタイムを詰めていかないと面白くない。例えば筑波なら15秒、10秒と詰めていかないと。でもそれって結構な世界なんですよ。その領域になると、それこそ命も懸かってくるし。でもオフロードだったら、なだらかに楽しみが盛り上がっていくわけです。ゆっくり景色を眺めながらハイキングするみたいに走っても楽しいし、カリカリ走っても楽しい。それぞれのレベルに合わせて楽しめる。時速10キロ程度だって楽しいんです。
Y:そこであらためて伺いますが、大鶴さんはどうしてフェルさんをバイクに誘ったんですか? 高校時代にフェルさんの先輩がバイクの事故で亡くなった過去とか、フェルさんの性格とかも、よくご存じなわけじゃないですか。
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