フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):新型のディフェンダーは大変な人気で、日本では発売と同時に初期ロットが完売したと聞いています。実際の販売状況はどうですか?

マグナス・ハンソン ジャガー・ランドローバー・ジャパン代表取締役社長(以下、マ):おかげさまでディフェンダーはとてもいいペースで売れています。グローバルもそうですが、日本では特によく売れている。具体的な数字は申し上げられませんが、我々の期待以上に売れています。

ジャガー・ランドローバー・ジャパン社長、マグナス・ハンソンさん
ジャガー・ランドローバー・ジャパン社長、マグナス・ハンソンさん

F:期待以上というのは、販売計画以上、ということですか?

:はい。販売計画を大きく上回っています。ですからいま、お客様のディマンドにお応えできるよう、本社に増産の要求をしているところです。

F:増産要求。それはすごい。コロナウイルスの影響で自動車市場全体が落ち込む中、とても景気のいい話ですね。ディフェンダーの生産は、いまスロバキアでしたっけ? 欧州の自動車生産の現状はどのようなものですか? コロナの影響で寸断されたサプライチェーンは、もう元に戻っているのですか?

:サプライチェーンは完全に復旧しています。問題は工場です。いまスロバキアの工場はマックスキャパで動いています。例えばラインスピードと工場の設備が100に設定してあるとします。サプライヤーさんは我々の生産に合わせて100の準備をしてくれています。ティア1が100。ティア2も100、ティア3も当然100。みんな我々が初めに設定したプランで動いている。そこに120、130、もしかしたら140造ってくれという要求がくる。これを実現するのは非常に複雑なプランニングとプロジェクトが必要になります。とても難しい。

自動車メーカーにとって「増産」とは?

F:自動車メーカーは簡単に生産を増やすことができない、ということですか?

:もちろんできますよ。やらなければいけないことです。でもとても複雑で難しい。ちょっと時間もかかります。

F:いまディフェンダーが売れているからといって、「それっ」とばかりに増産体制を敷くわけにはいかないと。

:その通りです。自動車メーカーは、つねにボリュームとキャパシティーを考えています。一般的に自動車のライフサイクルは7年から8年ですね。100から130に増産するにしても、それがパーマネントなのかテンポラリーなのかを考えなくてはいけません。パーマネントに100から110に増やすことは、非常に複雑で判断の難しいことです。スポットチェンジとライフサイクルチェンジは大きく違いますので。

F:ここでランドローバーの生産体制、設備投資についてうかがえるとは思っていませんでした。スポットチェンジとライフサイクルチェンジの違いを教えてください。

:スポットチェンジは文字通りテンポラリーな、一時的なチェンジです。一方ライフサイクルチェンジはパーマネントなもので、生産キャパを恒常的に拡大してしまうということです。

F:一時的なチェンジとはつまり残業や2直3直などのシフトで対応して、設備投資をしない、ということですか。

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