:F1の件は、どちらかというと私が中心になっていろいろ進めているということです。あと……。

F:いや、F1はモータースポーツ部が行う仕事の1つですよね。しかも重要な。

:はい。

F:その責任者が一切顔を出さず、一言も発していないというのは、何か理由があるのですか。大変な違和感を覚えます。

:F1に関してはブランド・コミュニケーション本部長の私が全てやっているということです。それともう1つ。今回の件に関して、レッドブルさんとの様々なやりとりや調整を、実際に私がやってきたからです。

F:清水さんはモータースポーツ部長だけれども、F1にはあまり関わっていらっしゃらない。こういう理解で正しいですか。

:まあ、私のバックアップという形ですね。

2019年6月30日、F1オーストリアグランプリで実に13年ぶりの優勝を飾ったレッドブル・ホンダ。幸運にもその場に居合わせることができた。ファンの歓声に応えるホンダの山本雅史F1マネージングディレクター。
2019年6月30日、F1オーストリアグランプリで実に13年ぶりの優勝を飾ったレッドブル・ホンダ。幸運にもその場に居合わせることができた。ファンの歓声に応えるホンダの山本雅史F1マネージングディレクター。
「え? あんたらホンダの人? 日本から来たのか! We did it!(やったな!)We win!(勝ったな!) ありがとう! ありがとう!」。記事はこちら「<a href="/atcl/seminar/19/00105/00044/"><span class="textColRed">ファンが叫ぶ!『神さま 仏さま ホンダさま』</span></a>」
「え? あんたらホンダの人? 日本から来たのか! We did it!(やったな!)We win!(勝ったな!) ありがとう! ありがとう!」。記事はこちら「ファンが叫ぶ!『神さま 仏さま ホンダさま』

分かり切っていた、それは事実です。

F:了解致しました。それではここで改めて伺います。ホンダはなぜこの時期にF1から撤退するのですか? もちろん2050年までにカーボンニュートラルを実現するという目標の話は十分に理解した上で伺っています。ここで裏話を教えてくれとゴネるつもりはありませんが、本当にそれだけなのかな、なぜ今の時期にポンとやめてしまうのかな、という素朴な疑問があるんです。

:いや、「本当にそれだけなのか?」と疑問を持たれてしまうのであれば、我々の説明不足としか言いようがありません。しかし、そもそもホンダは「Blue Skies for Our Children」というスローガンを掲げていて、環境をちゃんとやっていこうという企業姿勢がある。環境のリーダーとしてやっていきたいという思いがあるんです。

F:ブルー・スカイズ・フォー・アワー・チルドレン。子供たちに青空を、というところでしょうか。

:はい。その言葉は1970年代に「CVCC」という当時としては画期的なエンジンを造って、マスキー法をクリアしたとき以来のもので、今でも使っています。そしてもう1つ。「セーフティー・フォー・エブリワン」というスローガンがあります。

F:環境と安全、ということですね。

:ええ。環境と安全をしっかりやっていこうというのが、ホンダの企業理念の中に入っています。そして昨今の地球環境を見ると、本当に待ったなしの環境対応が必要だという状況になっています。企業価値としても、脱炭素の方向は絶対に必要です。

F:企業価値。最近はグリーン投資を掲げるファンドも増えてきましたからね。

:投資家の動きもそうですよね。我々はそんな状況の中で、2輪、4輪、パワープロダクトにジェットという、いろいろなプロダクトラインを持っている。そしてそれぞれのラインが、それぞれにしっかりと環境対応をしなければいけないのです。フェルさんもよくご存じだと思いますが、カリフォルニア州は、2035年までにガソリンエンジン搭載の新車の販売を禁止するよ、と行政命令を出しました。

F:あんなF-150やサバーバンばかりが売れている国が何を言うとるのかと(笑)。

:それはまぁ……(笑)。でも基本的に、世の中のトレンドが、ものすごい勢いで、環境、カーボンニュートラルの方向に向かって動いていることは間違いありません。我々ホンダはそれに対応し、世界をリードしていきたい、ということです。

F:よく分かります。ですがいまおっしゃったことは、ホンダがF1に復帰した2015年の段階から、既に分かり切っていたことじゃないですか。なぜそれを今になって急に言い出すのかなと。この違和感が、様々な臆測を生んでいるのだと思います。

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