株式市場は冷淡である。
 八郷隆弘ホンダ社長の緊急記者会見が開かれたのは東京市場が閉じた後の金曜日午後5時から。
 その夜にトランプ米大統領のコロナ感染が発表され、週末を前にしたニューヨーク市場は大きく下げたにもかかわらず、明けて月曜日のホンダ株は大きく値上がりした。火曜も水曜もその勢いは止まらない。
 ホンダF1ファンの嘆きや、関係各位の落胆など一切お構いなし。
 F1参戦終了の報は、投資家筋に「金食い虫を手放した」あっぱれな経営判断と評価されたのだ。

 と、今回はF1ではなくレジェンドの試乗記であった。
 それにしてもホンダはどうしてF1をやめてしまうのでしょう。
 せっかく強くなってきたのに、本当に残念です。

レジェンドを見た母の第一声

 「なんだか、変わったクルマねぇ」
 レジェンドを前にして、不肖フェルの母親はポツリと呟いた。

 長く運転してきた母も、75歳になった時点で免許を返納し、以来クルマの運転はしていない。とはいえこのコロナ禍で、高齢者がタクシーに乗るのも怖い。感染リスクの高い公共交通機関などもってのほか。ついては墓参りの足がないので迎えに来いと言う。

 それならちょうど良い。いまウチに大きなクルマがありますよ。
 こんな流れで、母親を迎えに行くことになったのだ。
 で、レジェンドを前にした母親が、思わず呟いたのが冒頭の一言である。

「なんだか、変わったクルマねぇ」とフェル母に評されたホンダのフラッグシップカー、レジェンド。
「なんだか、変わったクルマねぇ」とフェル母に評されたホンダのフラッグシップカー、レジェンド。

 「なんだか変わったクルマ」。なるほど、言い得て妙である。クルマに一切の興味がない人の率直な感想はこんなところだろう。巨大なボディ。八目鰻(ヤツメウナギ)のような不思議なライト。過度に施された銀のモール。そして巨体にそぐわぬ真っ赤なボディ。ともかく変わっていて、よく目立つクルマである。

 「これはどこのクルマなの? アメリカ?」
 「いえ日本製です。レジェンドというホンダの最高級車です。埼玉の狭山工場で造っています」
 「レジェンドならあなた、昔ウチで買おうと思っていたクルマじゃない」

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