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 ドアを開けクルマに乗り込む。やる気まんまんの立派なバケットシートがデンと設置されている。首のあたりに赤く「Sport」と筆記体で記されている。アガるなぁ。

 シートベルトをしてインパネを眺める。赤いタコメーターにダークシルバーのスピードメーター。タコは8000回転まで、スピードは時速260キロまで数字が切られている。260キロですよみなさん。120キロで走って、針はようやく10時の方向を指すのである。アガるなぁ。

 エンジンをかける。排気量1.4リットル直列4気筒直噴ターボエンジン。小さなエンジンなのに、意外と野太い音がする。「音づくり」には相当気を遣ったのだろう。この外見で音がショボいと変ですものね。

 ショートストロークのギアを1速に入れる。コクっと気持ちよく決まる。
 確かによく回る。1速、2速は、すぐに頭打ちだ。街中では楽しめない。首都高へ急ごう。

 首都高入り口の上り坂で、かなり乱暴にアクセルを踏みつけても、トルクステアが出ることはない(FFの馬鹿力車は、ここで破綻してガガガと不快なトルクステアが発生することが多いのだ)。気は優しくて力持ち、である。

マニュアルミッションの愉悦

 料金所を過ぎて本線に入る。道はガラガラに空いている。強くアクセルを踏み込む。
 1、2、3速はクロスレシオである。忙しなくシフトチェンジする必要がある。
 ああ、ギア付きのクルマって楽しい。

 エンジン出力は140馬力(103kW)。最大トルクは230N・m。1.4リットルで、どうやってこれほど太いトルクを作り出したのだろう。低回転からモリモリと力が湧いてくる。ターボがドッカンと利くポイントがなく、下からジワッと力が湧き上がってくる。「ターボらしくないターボ車」である。

 SWIFT Sportのエンジンは、エスクードに載せられたエンジンと基本的に同型のK14Cで、それをSWIFT Sport向けにチューニングしたものだ。スズキでは珍しいハイオク仕様である(エスクードはレギュラー仕様)。

 SUVのエンジンが、こうしたベイビーギャングに転用できてしまうところが面白い。

 無論SWIFT Sportの美点はエンジンだけではない。
 称賛すべきはその高剛性ボディだ。段差を乗り越えても一切の鳴きが入らない。

 ミシミシと弱音を吐くことは一切ない。だが大きな段差に入ると、後輪のほうからドンとかバンとか突き上げ音が響くことはある。前モデルから比べると、うんとよくなってはいるのだが、やはり突き上げ感はある。ただしこれは1人乗車のときの「後輪に荷重が薄い」状態での感想である。後部座席に人が乗れば、また大きく印象が違ってくるのだろう。

 ちなみにフロントストラットとリヤショックアブソーバーには米テネコ社のモンローが採用されている。確か先代もモンローだったはずだ。