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フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):クルマの未来に関してたくさん伺いました。今度は会社についてお話を伺います。いま自動車メーカーは乱婚の状態で、あそことあそこが破綻した。そしてあそこが一緒になった……なんていうニュースがしょっちゅう飛び込んできます。今やホンダは世界でも珍しい、どこにも属さない「独立系」のメーカーになりました。

本田技術研究所社長、ホンダ専務の三部敏宏さん

三部敏宏さん(以下、三):そうですね。ウチと、あとはどうだろう、BMWさんぐらいでしょうか。

F:今後も独立路線を維持されるおつもりですか? 他社と組むことは金輪際あり得ませんか?

:答えにくいことを聞くなぁ……(苦笑)。でもそんなことはないですよ。ホンダが未来永劫独立でいくと決めているわけではありません。

F:今後どこかと組む可能性もあると。

:ええ。だからといって、資本提携するとか、そんなことはまったく考えていませんが。

F:なるほど。

:ただ、我々がやりたいと考えていることが早期に実現できるのであれば、一部分を組むというのは大いにあり得ます。何よりもスピード感を出さないといけませんので。我々にたくさんの時間があれば、それこそすべて中でやりますけれども、今の時代は、何事も速く進めなければいけません。我々がやりたいことが、どこかと組むことによってスピーディーに進められるのであれば、他社と組むことはやぶさかではない、ということです。

F:ホンダはこれからも絶対に他社と組まない。独立独歩でやっていく、ということではないと。

:ないない(笑)。さすがにこれだけ戦線が拡大してくると、全方位を一社で戦うのは難しい。

ドアをノックするのは誰だ?

F:ホンダが独りぼっちで生きていこうと思っているわけではない、と。いつまでにどことどうしよう、という明確なプランはありますか?

:ない、ない、ない。ないです。組むことありき、ではないので。組む意味があれば組む、ということです。

F:なるほど。組むことが目的ではないと。

:そう。そしてもう一つ。提携するにしても。Win-Winの関係がキチンと成り立つかどうかが重要です。だから我々はWin-Winの定義もしっかり持っています。その上で、ドアは常に開いています。何も話もしません、聞く耳も持ちませんとか、そういうことでは決してありません(※編注:この回が出る直前の9月3日、ホンダは北米市場で米GMとプラットフォームやエンジンを共通化する戦略提携を発表した)。

F:その開け放たれたドアをノックしてくる企業はあるのですか?

:もちろんありますよ。またノックされるだけではなく、逆に我々がノックしていることもある。それは自動車OEMに限らず、サプライヤーさんなども含めてです。最近だと日立オートモティブシステムズとホンダ系列の3社(ケーヒン、ショーワ、日信工業)の経営統合のお話(合併実施は2021年第一四半期の予定)がありましたよね。自動車会社は、あらゆる方面につながりがあるので、今の定義が成り立てば、意外な会社と組んだりする可能性もありますよね。

F:なるほど。大変よく分かりました。ありがとうございます。

 話はまたいきなりぶっ飛んで、レースについて伺います。ホンダがF1から撤退してしまうのでは……なんて不穏な話も出ていますが。