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:GMとの共同開発は、プラットフォームは共有して、上屋はまったく違うものに、それぞれが別々にやるという取り決めです。もちろん個別にやっても、EVを開発することはできますが、当然事業性は悪くなる。何しろ当面は数が見込めませんから。

 今はまだ、自動車会社が単独でどんどんEVを造って売るという段階ではないと思います。政府の手厚い保護がある特別な環境であれば話も変わってきますが、日本はそうじゃない。だからよく考えて、賢いやり方で戦いながら、本格的なその時代に備えるべきだと考えています。

F:なるほど。だから他社と組む選択を。

電動化でモビリティーの形も多種多様に

:一方でEVはモジュール化が進んでいるので、自動車会社ではないプレーヤーが、これからもたくさん参入してくる。この流れも止まりません。今のクルマの大きさのものだけじゃなく、ラスト・ワンマイル・モビリティーみたいなものも含めて、いろいろな形をした乗り物、電動モビリティーが、これからどんどん出てくるのだと思います。

F:スケボーだって電動の時代ですから。

:うん。小さいので言うと、電動キックスクーターみたいなものから航続距離が300マイルもあるものまで、日本を一歩出ると、もうあちこちにいろんな形をしたものが既に走り回っています。そういった意味で言うと、今の「二輪と四輪」というカテゴリーも崩れるのではないかと思っていて。

F:そうなると、両方やっているホンダの独壇場。

:そうした背景があって組織の話に戻すと、今まで二輪のデザイン、四輪のデザイン、ライフクリエーションのデザインって、それぞれ別々にデザインセンターがあって、別々に仕事をしていたわけなんです。それをこの4月に1つにした。デザインセンターを統合した。

F:なるほど。今までの考え方だと、バイク、自動車、発電機のデザインを一緒にするなんてメチャクチャだ、と思ってしまいますが、これからのモビリティーを考えると、極めて合理的であるということですね。

:そうそう。デザインって商品を引っ張っていく力があるんですよ。それを「僕は二輪のデザイナー」「俺は四輪だから二輪は分からない」なんてやっていたら始まらない。それは本当に古い感覚です。ウチはそれを先行して崩していかなきゃならんと思っています。

F:なるほど。すごくよく分かりました。ああ気持ちいい。超納得です。

 ああ、この納得感。
 いろいろそれっぽいメリットを並べているけれども、ホンダと研究所の統合は、実は単なるコストダウンだろうと思っていたのです。歴史的な統合の裏には、こんな思いやメリットがミッチリ詰まっていたのでした。

 三部さんのインタビューは次号に続きます。お楽しみに!