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 みなさまごきげんよう。
 フェルディナント・ヤマグチでございます。

 コロナで夜の時間に余裕があるとはいえ、連日の出稿はさすがに堪えますね。
 とまれ、本日も明るく楽しくヨタ話からまいりましょう。
 今日は昨日の林道ツーリング話の続編であります。

 今回のツアーが慣らし運転でもある、井手光裕くんのトライアンフ。
 映画007の「ノー・タイム・トゥ・ダイ」に登場する、カスタムのScrambler 1200をイメージした、世界限定250台。日本で売り出されるのはわずか20台という逸品中の逸品であります。

 お値段何と259万円。サファイヤブラックのボディカラーが林道で妖しく光ります。
 しかし。だがしかし……。

 林道を走行中、なぜだか急にスコッとギアが抜けてしまった。ニュートラルに入ったまま動かない。いくらシフトペダルを踏んでもスコスコと虚しく空回りするばかり、そしてそのままあらららら、と転倒してしまったのです。

やってしまいました。トライアンフですよ。007ですよ。先週下ろしたばかりの259万円の新車ですよ。井手選手、呆然と立ち竦んでおります。

 先週一緒に「夜お茶」をした際、「自分は30年間無事故で、立ちゴケすらしたことがありません。フェル先輩はコロコロとよく転ぶようですが、ま、安全運転で行きましょうや。はっはっは」と高笑いしていた井手選手ですが、まさかメカトラブルで転倒することになろうとは。

泣いております。そりゃ泣くわなぁ。259万だもんなぁ。

 しかし泣いてばかりもいられない。ここは険しい山の中。救助など待っていても誰も来てくれません。なんとか自力で下りるしかない。こんな時に頼りになるのが、大ベテランの山原真治選手。彼はDOAというラリーの主催者でもある。

さすが大ベテランの山原選手。慌てず騒がず愛車BMWに積んだ装備品からロープをサッと取り出すと、「これでけん引しましょう」と。昨今は被けん引車のステップに締結して引っ張るのがはやりなのだそうです。

 車体とライダーを合わせれば総重量は300キロを楽に超える。引く方も引かれる方も難しい。途中でけん引車を重量のあるローリー氏のテネレに交代し、何とか麓まで下りることができました。

 メカトラブルにより人生初の転倒を喫してしまった(さらにその姿をこうして何十万人もの人々に見られてしまった)井手くんはさぞかし無念でしょうが、こうしたトラブルもまたアドベンチャーの一環で、愉しからずや、というところであります。

道の駅から東京までドナドナされることとなった井手号トライアンフ。妙に陽気でテンションの高いレッカー業者さんと、哀愁漂う井手くんの背中が対照的であります。

 ということで本編へとまいりましょう。
 本田技術研究所三部敏宏社長のロングインタビュー続編であります。