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カーセンサーの値段はおいくらだったでしょうか

 こんにちは、AD高橋です。

 先週のコレツィオーネさんへの取材に続き、今回から、古巣であるカーセンサー編集部に取材したコロナ禍の中の中古車事情をお届けします。

 古巣と言っても私がカーセンサーにいたのは1996年から98年末までの3年間。その頃とは商売の手法や方針、もちろん編集メンバーもガラッと変わっていますからね。最新状況を聞けたのはとても勉強になりました。

 ちなみに西村編集長は現在38歳。リクルートマーケティングパートナーズのHPに掲載されているインタビューによると、2015年に進学事業から自動車事業に異動し、カーセンサー本誌の改革を担当。その後、2017年にカーセンサー編集長に就任しています。

こちらがカーセンサーの最新号。何がすごいって、100円(税込み)ですよ! 昨年10月の消費税アップでも税込100円を死守しています。中身の中古車情報はかつての販売店別に情報が並ぶものではなく、中古車の価格帯別に情報が編集されています。

 カーセンサーのWebサービス(当初はCARSENSOR on the NET)がスタートしたのは1996年。当時はリクルートが運営するポータルサイト“MixJuice”(後のISIZE)にひもづいたものでした。

 これは中古車に限らずですが、情報を紙で得る時代からネットに変わったのは大革命でした。

 40代以上の方なら経験があるでしょう。発売日の朝にコンビニやキオスクなどでカーセンサーを買い(10時オープンの書店だと間に合わない)、急いでインデックスを見て安くて状態のいい中古車を探す。そして販売店のオープンと同時に電話をかけて、週末にクルマを見に行く約束をする。

 ところが人気車種だと自分以外にも多くの問い合わせが入ります(当時、条件のいいクルマには数十人のライバルがいると思えという話もありました)。だから週末に来店のアポを入れてもお店を訪れたときには売約済みの札が貼られていることもしばしば……。

 サービスの主体がネットに移ってからは本の発売日は関係なく問い合わせができ、しかも小さな写真1枚ではなく外観やインテリアなどたくさんの写真を見ることができる。さらに本だとエリアごとの情報しか掲載されませんが、Webなら全国のお店の情報を見ることができる。複数写真の掲載と全国の情報が手に入る環境から、販売店を一度も訪れずに地方にある中古車を買うことも一般的になっていったのです。

気になった中古車をブックマークしておける“お気に入り”機能。これもWEBならではの便利な機能です。

 西村編集長によると、ゴールデンウイーク明けから物件の閲覧やお店への問い合わせは昨対以上になったが、販売店への来客数が戻らない。確かに先週取材したコレツィオーネさんでも、フィアット500やアルファロメオMITO、ルノー・トゥインゴなどの大衆車は「問い合わせは多数入るがそこで終わってしまう」という話でした。

 一般社団法人日本自動車販売協会連合会(自販連)が6月10日に発表した5月の「中古車・月別登録台数」を見ても乗用車は前年同月比の20.8%減に。4月は9.8%減にとどまっていましたから、自粛期間から自粛が明けて間もない時期は成約にまで結びついていないことがうかがえます。

 ところで、先週の本コーナーで「商用車の中古車は販売台数が落ちていない」ということを紹介しました。先週は4月のデータを紹介しましたが、5月も普通貨物車が、3.6%減、小型貨物車は0.8%増加、トータルで1.1%減と、ほぼ昨年と同等の数値をキープしています。

4ナンバーのハイエースバンは小型貨物に分類されます。カスタムやアウトドアを楽しむ人からの需要がありますが、メインは商用利用。中古車の登録台数が伸びたのは、急激に需要が伸びた物流業界からのニーズが高かったからかもしれません。

 その理由を西村さんは「乗用車と違い、商用車は仕事で絶対に必要なもの。だからコロナうんぬんではなく必要に迫られている会社が買うのだろう。もちろん、業種によっては売り上げが激減して設備投資どころではなくなっているが、一方で物流や飲食でもデリバリーなどは需要が高まった。その需要が期間限定的なものであれ、急いで納車して需要に対応する。新車の商用車だと納期が分からないが中古車ならパッと手に入れることができることも大きいのだろう」と分析してくれました。

 なるほど。確かに多くの人が巣籠もりする中で、物流はほぼ止まることなく、多くの人の生活を支えてくれました。需要が急激に増加する中でも今までと変わらないサービスを維持してくれたことが、この数字に表れているのかもしれません。日本の物流の底力には、改めて頭が下がります。