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問い合わせは戻っても、店にお客さんが来ない

F:おー! するとカーセンサーから見たマクロの販売の現場も、既に昨年のレベルかそれ以上に戻っていると。

西:いや、そうじゃないんです。僕らがお付き合いをしている販売店さん、特に大規模な店舗を構えて台数をたくさん売っている業者さんにお話を伺うと、確かに問い合わせの数は戻ってきている。ちゃんと「コミコミの値段はいくらですか、コンディションはどうですか」という具体的な商談ベースまで発生はしているのですが、ともかく来店数がまったく戻らないと。

F:閲覧して問い合わせもして具体的な話もするけれども、店に来ないと。コレツィオーネさんではノールックで買ってしまうお客さんも多いと聞きましたが、普通中古車を買う人は現車を確認しますものね。

西:そうですね。普通はカーセンサーを見て、お店に問い合わせて、実車確認を兼ねてはんこを押しに行って決めるという3段階を経て中古車を買うケースがほとんどですね。特にクルマ好きというわけではなく、アシ代わりのクルマ、移動用と割り切ってクルマを買う方で僕らのサービスを使う方だと、例えばプリウスが欲しいと言ったら、2~3の販売店を回って2~3台ずつぐらいプリウスを見て、それじゃコレにするわと意思決定をされるような。それが一番オーソドックスな行動だったと思うんですけれども、最近は来店件数が減っている。でもこれは決して悪いことではないんです。

新車がめちゃめちゃ売れた3代目プリウスは中古車も豊富。まだ現行型だった頃から流通量が多くて中古車相場はかなり割安感がありました。さらにハイブリッドカーは中古車でもバッテリーのことを考えて「新しいものが欲しい」という人が多いので、フルモデルチェンジ後は中古車相場が一層下落。走行距離にこだわらなければ総額50万円以下で買える中古車がたくさんあります。

F:そうなんですか。店に来ないと売れませんよね。

西:いやいや、オンラインの精度が上がってきているので。

F:あ、そうか。ネットの閲覧の段階で既に決めている。

西:そうなんです。そこまでいかなくても、ほぼほぼ意志を固めて見に行ったら、販売店の人がいい人だったので、他を回らずにそれで決めちゃいました、みたいな。昔に比べると中古車に対する不安が格段に減ってきているんですね。今は怪しい商売をしているところもほとんどありませんから。

F:昔はデタラメでしたからね。僕も泣かされたことがあります。学生のときにバイト代をはたいて買ったRX-7が実は事故車だったり……。

マン:いい話じゃないですか。フェルさんにもそんなウブな時代があったんだ(笑)。

いろいろ思い出深いフェル2号、初代RX-7(SA22C型サバンナRX-7)。

F:ひどい話だよ。何かで修理に出したら、「お客さん、これ事故車って分かって乗っている?」って工場の人に言われて。え、知りませんでした。パリパリの上物って言われて買いましたと言ったら大笑いされて、「前から突っ込んでるね。全塗装もしているね。元の色はイエローだから」って。シルバーのクルマだったんだけど……。ちくしょう。思い出したらムカついてきた。

マン:お気の毒さまです(笑)。

F:中古車販売って、昔は本当に筋者のシノギみたいな部分もあったわけじゃないですか。50万でたたき買って、翌日には100万で売っちゃうとか。メーターを巻き戻しちゃうとか。どうしてそれが健全化されたのでしょう。

西:偉そうに言うつもりはないのですが、中古車業界の健全化に関しては、カーセンサーが大いに貢献したと思っています。悪い業者はカーセンサーに掲載しない。クリーンにするためには、僕らは売り上げが落ちてしまっても徹底してやってきましたから。

F:なるほど。悪徳業者でもお客はお客。広告掲載料を取れるのですからね。それを載せなかった。

西:読者からすれば、中古車自体が、昔よりも何となく安心して買えるようになっているのだと思います。あとは自動車という製品自体の品質が向上しています。2000年以降って、特定のモデルの特別な箇所以外はほとんど壊れなくなっていますよね。

F:確かに。クルマが壊れなくなりました。

西:昔の中古車って、当たり前のようにボコスカ壊れて、エンコしちゃうっていうイメージがありましたよね。でも今の中古車は劣化する消耗部品はもちろんありますが、みなさんが普通に買われる、ここ10年ぐらいのクルマだとまず壊れない。3年から5年落ちぐらいの中古車なんて本当に故障しない。

F:そうですよね。なるほど。業界自体が浄化されたのと同時に、元になる自動車自体の品質が向上しているから中古車を買うのが怖くなくなった。これは大きいですね。

 興味深い中古車の話は次号に続きます。
 お楽しみに!