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実は「中古車の年間販売台数」は誰も知らない

西:常時2万から3万店舗ぐらいの販売店さんとやりとりし、中古車の掲載台数は50万台強になります。これだけの台数がオンラインに載っています。

F:常時50万台! すごい。日本では1年にどれくらいの中古車が売れているのですか?

西:これは計算が非常に難しくて、実はどこの組織も正確な数字を出せていないのが実情です。というのも、業者間の売買が何度も繰り返されますし、個人間の売買もあるでしょう。さらに海外へ流れていく中古車も大変な数になる。年間に小売りとして売れる台数は、およそ250万台です。

F:250万台。確かに中古の場合はダブルカウント、トリプルカウントされるケースが多いでしょうからね。新車が今500万台くらいだから……。

西:はい。新車と中古車の比率は、うんとざっくり言うと、2:1ということになります。

F:新車は過去のピーク時に年間販売台数が700万台を超えていました。その頃も比率は同じくらいですか。中古が300万台以上も売れていたのですか?

西:いや、今のほうが中古車の割合は増えています。ただ、新車と中古車を足したグロスの数字で言うと、ピーク時よりは低いです。小売りベースでいくと、自動車販売全体の数字は下がっています。

海外への輸出需要が高いのが、10年落ち以上のハッチバック。例えばヴィッツだと写真の2代目より新しい3代目でも総額50万円以下で走行5万km前後の中古車が見つかります。日本でわざわざ2代目を選ぶ人は限られています。でも海外ではまだまだ需要があるのです。

F:小売りベースで中古車が過去最高に売れたのはいつごろですか?

西:小売りで過去に遡るのは難しいのですが、僕らがこの4~5年調査をしている中でいくと、今がマックスです。中古車の場合、正確な数を出すのが難しいのは、業販でオークションに出した年に、売り手が代わると、それだけで1台としてカウントされちゃうからなんです。小売りじゃないものも、全部登録に入ってしまう。輸出された中古車も入ってしまう。僕らがそこで、じゃあ、本当の小売り販売台数は何台なのよ、と出せるような調査を始めたのが、この4~5年なんです。

F:それを修正した数字が、先程伺った250万台ということですね。

西:はい。業界団体などが出している数字は、それよりも圧倒的に多いです。

F:そうですね。Webで見ると、登録車と軽自動車を足すと580万台(乗用車)とかになりますからね。正しくダブルカウントだ(笑)。

西:正確に売れた登録台数をデジタルに把握するのって、世の中的に不可能なんです。これは業販、これは小売りですと、わざわざ申請して登録している人なんていませんから。

F:なるほど。

西:繰り返しになりますが、小売りの台数が上がった下がったと把握するのは、僕らでも非常に難しい。そんな中で予測できる数字として、カーセンサーのサイトの物件をどのぐらい見ている人がいるのか。またその物件に対してどのぐらい問い合わせがあるのか。いわゆる手前の指標ですね。成約の前段階の、みなさんの検討行動。これは参考になると思います。

F:購入前の検討行動、ですか。

西:はい、検討行動。具体的に言うと閲覧数と問い合わせ件数です。それを見ると、ゴールデンウイーク後からは昨対を超えるレベルで回復してきています。4月の前半は下がっていたのですが、これがゴールデンウイークからガッと上がってきた。

F:みなさん景気が悪くなると閲覧すらしないんですか。見るだけならタダなのに。

 僕はカーセンサーで値段を見るのが習慣のようになっています。「あーCクラスがまた下がっている。激安じゃん」とか、「ディフェンダーが上がっている。買っとけばよかった……」とか、クルマを買う予定もないのに、カーセンサーを見て一喜一憂しています。中古車の閲覧って、レジャーとして最高に楽しいもの。

西:4月の前半って、みなさんマスクがない、トイレットペーパーがないと大騒ぎされていたタイミングです。クルマを見るよりも、恐らくライフラインをどう確保するかが問題だったのだと思います。ゴールデンウイークに入ると、それも落ち着いてきて、それこそ朝から晩まで一日中閲覧されていたような方もいらっしゃいます(笑)。そして閲覧が増えると、それにつられて問い合わせ件数も増えてくる。そしてゴールデンウイーク明けには閲覧数も問い合わせ件数も昨対以上になっているというのがたった今、現状の話ですね。

この写真は4月13日に撮影したもの。2月下旬ごろから全国のドラッグストアやスーパーからマスクが消え、手持ちもなくなってきて「どうしよう……」と思っていた頃に私の地元では外国人が経営するお店でマスクが販売されていました。後に大問題になりましたね……(マン)。