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 新型コロナの影響で、自動車販売台数が激減している。
 5月の新車販売台数は、乗用車と商用車全体で前年同月比実に40.2%減である。
 ほんの2~3%下がっただけで大騒ぎをしてきたクルマ業界にとって4割減とは、この世の終わりとも言うべきショッキングな数字である。

 実はコロナの前から新車の販売は振るわなかった。販売台数はこれで8カ月連続のマイナスである。それにしてもコロナ以降がひどい。3月は同年前月比10.2%減。4月は同25.5%減。そして5月の40.2%減である。この勢いでいくと6月はどうなるのか。

 サプライチェーンがズタズタにされてしまったため、予約したクルマが届かない、あるいは買いたいクルマが買えない、つまり「買いたくても買えない」という状況も少なくはなかろうが、消費者の購買意欲が減退していることは間違いないだろう。

 では中古車はどうか。新車同様に販売台数が大きく減少しているのだろうか。
 中古車販売の最前線で活躍する、コレツィオーネの成瀬健吾社長にお話を伺った。

コレツィオーネ社長・成瀬 健吾さん

 コレツィオーネは世田谷の目黒通り沿いにある、今年21期目を迎えた、イタリア車、フランス車の小型大衆モデルから超レアなヴィンテージ物まで幅広く扱う老舗の中古車販売店である。さまざまなジャンルについて幅広く話を伺えそうだ。

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):はじめまして。今日はお忙しいところお時間を頂戴してありがとうございます。フェルディナント・ヤマグチと申します。高橋さんにご紹介をいただき、押しかけてまいりました。

 当欄ADの高橋マンちゃんは、ここコレツィオーネでフィアット500(チンクエチェント)Cを6年前に購入している。今回はそのご縁でお話を伺うこととなったのだ。

コレツィオーネ社長・成瀬 健吾さん(以下、成):こちらこそよろしくお願いします。

F:新車販売台数が激減しています。では中古車はどうなっているのか。まずはそこから教えてください。

アシグルマの需要はピタリと止まりました

:いわゆる普通の中古車、アシとして使うようなごく一般的な中古車の動きは、3月にピタリと止まりました。業界全体が、数字としてもかなり悪かったと思います。4月に入っても同様です。ですがここへ来て富裕層の方々が動き始めました。「ここは買い場だ」と判断されたのだと思います。

F:売り物が増えて、価格が下落したということですか。

:イコールで価格が下落したということではありませんが、早く売ってしまいたい、急いで換金したい、という方はいらっしゃいました。

F:コロナの影響でビジネスに滞りが出て、慌てて投げ売っている人がいるのでしょうか。

:そうですね。そういう方もいらっしゃいます。

F:どのような業種の方ですか?

:それはもう本当にさまざまです。一概にこの業種が多い、ということではありません。今回のコロナの影響は、本当に各方面に及んでいるのだな、と思います。

F:そうやって慌てて売る方は、やはり高級車に乗っておられるイメージがありますが。

:価格でいくと1000万超が多いです。ですからそう、高級車ですね。ただ単に高いだけでなく、入手困難なクルマも少し動いています。今まで売り物としてなかなか市場に出てこなかったようなクルマもありました。そういうクルマを、首を長くして待っておられたお客様は、迷わずサッと買っていかれますね。

F:迷わずサッと(笑)。見ないで買っちゃうんですか。

:基本はみなさん実車をご覧になります。でも中には見ないで買われる方もいらっしゃいます。とてもありがたいことに、「成瀬が見ていいと思うなら買っちゃって」というお客様が一定数いらっしゃいますので。

F:はー。

:今日インタビューにおいでになるということで、ローン会社とか海外のバイヤーとか各方面に話を聞いておいたのですが、5月の連休明けから、かなり動きが出てきたと言っています。3月、4月まで自粛されていた方が、連休が明けて、クルマに関しては「もういいだろう」と動き出したという感じです。

 ただ、なんと言うのかな。今回は単にコロナで景気が悪くなったから手持ちのクルマを売りました、出物が出たから買いました、という単純な話ではないような気がしています。何かもっとこう、大きな動きが来ているような……そんな気がするんです。例えば当社の長いお客様で、これを機に東京の家を売って、何台もお持ちのクルマも処分されて、地方に家を買って引っ越されたりだとか。その方はお仕事も順調ですので、いわゆる「換金売り」の類ではありません。コロナを機に、暮らしのあり方を変える……という感じでしょうか。