仲:我々が扱っている軽、またAセグやBセグに関しては、間違いなくそう言えます。やっぱり重さは確実に原価に効いてきます。レクサスのようなクルマだと、いろいろ電子物の装備にお金がいっぱいかかっているので少し話が違ってきます。でも我々のクルマはスッピンの状態で勝負しています。だから素材の質量がモロに原価に効いてくるんです。
F:ダイハツはスッピンで勝負する。いいお話です。女性だってそうですよね。スッピンで勝負してもらいたいですよね。朝起きて隣を見たら、あれキミ誰だっけ? というような女性じゃ困るわけで(笑)。
仲:はぁ……。
F:化粧の技術革新には目覚ましいものがありますからね。だからいくら場数を踏んでも、なかなか見抜けないで失敗してしまう。朝起きてギャッとなることが今でも年に何回かはあるんです。
仲:はぁ……それは大変ですね……。
マイトのY:あぁもう! せっかくいいお話だったのに。
仲:高級車は電子デバイスにお金がかかっています。でも我々のクルマはそんなにたくさんのデバイスがあるわけじゃない。だから重さがイコールでコストになる。
F:するとダイハツにとって、「重さは悪」と言えますね。
仲:そうです。「重さは悪なり」。その通りです。ダイハツにとっては本当にそうです。
F:だから削いで、削いで。削ぎまくってクルマを造るわけですね。
クルマは「削いで」造ってはいけない
仲:いや、そうではありません。削ぐんじゃないんです。いったんもとになるクルマを造って、それから削ぐのは造り方としてよくないんです。「いかに素性をよくするか」。これが大切です。
F:素性をよくする。なるほど。でもクルマの素性って何ですか。素性のいいクルマとはどんなクルマですか。
仲:クルマが路面の上を走ると、タイヤから荷重が入って、それをサスペンションで受け持ちますよね。サスペンションが荷重を受け持つときは、やっぱりまっすぐに受けてやるのが一番素性がいいわけです。いわゆるオフセットしたような状態で設計すると、その分が重くなります。だからダイレクトに、最短で荷重を受け取りましょうという考え方です。
F:スミマセン。ちょっとイメージが湧かないのですが……。

仲:ここ(右手)がボディでこっち(左手人差し指)がタイヤを支えるサスペンション。上下まっすぐの方向に強度部材を配置するのが一番自然なんですが、これを斜めに配置してしまうとその分曲げの力が入るので、同じ外部入力が加わるとその分を強化しないといけません。強化をするということは重くなるということです。
F:なるほど。サスペンションをまっすぐに立てるのが理想的と。それならみんなそうすればいいですよね。なんでやらないんだろう。
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