フェルディナント・ヤマグチ(以下F):はじめまして。今日はよろしくお願いします。フェルディナント・ヤマグチと申します。
ダイハツ工業 技術統括本部 製品企画部 エグゼクティブチーフエンジニア 仲保俊弘さん(以下仲):こちらこそ、よろしくお願いします。

F:ロッキーをお借りして、1週間ほど試乗させていただきました。その間、およそ600キロほど走り、スキーにも行きました。
仲:スキーにも行かれた。お楽しみいただけましたか?
F:あいにく雪道では試せませんでしたが、コンパクトな車体にもかかわらず、大人4人が余裕で乗って、エンジンが喘ぐこともなく坂道をグイグイ登っていく。わずか1リッターという小排気量なのに。
仲:ありがとうございます。まず大きさからお話すると、ロッキーは縦横がほぼトヨタのアクアと一緒なんですね。でもパっと見はこちらの方がずっと立派に見える。そしてひとたびクルマに乗り込むと……ここはダイハツ工業が一番得意としている分野だと思うのですが……うんと広さを感じるよう設計されている。実際の寸法ももちろんありますが、寸法に表せない意匠だとか、圧迫感をいかに除外していくかを徹底的に追求しています。
軽自動車で磨き込まれた「広さ感」の演出
F:縦横の大きさはアクアと一緒。でもこちらのほうがずっと立派に見えますね。しかも中がちゃんと広い。大人4人が乗って遠出しても決して窮屈ではありませんでした。
仲:はい。それはダイハツ工業という会社が、サイズが厳しく規定されている軽自動車という世界の中で、もう何十年も「人も荷物もしっかり乗せましょう」という思想のもとにクルマ造りをやってきたからこそ成し得たことなんですね。乗ったときにいかに「広さ感」を演出するかという。
F:実際の寸法より大きく感じる「広さ感」。それを演出する。
仲:そう。広さ感。これが大切です。ダイハツ工業というのは、軽を基点にしているので、その広さ感を演出する技術は非常に高いものを持っていると自負しています。小さい空間でも大きな客室を作り出すのが得意なのです。それを実現するために、メカニカルな部分に関しては1ミリ、1グラムにまでこだわり抜く。そして生産に関しては1秒、1円にまでこだわり抜く。
F:1ミリ、1グラム、1秒、1円。ダイハツはそれにこだわり抜くと。
仲:そうです。1グラムでも軽く作る。自動車というプロダクトは、「軽さイコール安さ」ですから。
F:軽さイコール安さ。なるほど。
仲:クルマを少しでも小さく、コンパクトにしていく。そうすれば必ず軽くなって安くなります。クルマってそういうものなんです。
F:軽いと材料費がかからないから原価も安くなるということですか? そんなに単純なものなのかなぁ……。
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