軽いドアを開けて運転席に座る。
 異様に広く見える。いや、見えるだけではなく実際に広い。運転席と助手席の間には十分な距離があり、ドアとの間にも余裕がある。まずは1人で走り出す。

 1リッター直3DOHC12バルブターボ。トールに積まれているエンジンと基本的には同じものだ。ターボで武装しているとは言え、しょせん排気量は1リットルである。大した走りなど期待できまい……。こう思って運転を始めた。

1リッター直3DOHC12バルブターボエンジン。トールに搭載されているのと同じものだ。
1リッター直3DOHC12バルブターボエンジン。トールに搭載されているのと同じものだ。

 だがしかし、新宿西口の地下道で、この予想は見事に裏切られた。
 速い。ヒュンヒュンとよく走る。しかも低回転から。
 エンジンは2400rpmから最大トルクである140N・mが発生するように仕立てられている。

 だが乗った実感としては、もっと早い段階からトルクが湧いてくる印象だ。
 甲州街道の渋滞につかまったところで、助手席に投げ出してあったスペックシート(2WD「G」)をなんとなく眺めてみる。

2人でスキーに行くなら、後部座席を倒してグッズをすべて積み込むことができる。
2人でスキーに行くなら、後部座席を倒してグッズをすべて積み込むことができる。

 形式:5BA-A200S-GBSV これはまあどうでもいい。
 エンジン:1KR-VET型3気筒TC トールと同じですね。TCはターボチャージャーのことだな。
 税込価格:200万2000円。安いなー。マットが2万8226円ってのは笑うけど。
 車両重量:980kg……えぇ! 980kg! 我が目を疑った。何と5ナンバーのSUVが車重1tを切っているのである。

 同じエンジンを積むトールなんか1100kgですよ!(2WD「X」など) ダイハツで一番売れているクルマであるタントだって、重いのは970kgもあるんですよ。軽量化を図るためにネジの頭まで削ったマツダのロードスターだって、最軽量モデルが990kgですよ。
 どこをどう削ったらこんな車重になるのか。これも開発者に聞かなければ。宿題満載である。

 とまれ、ひらひらヒュンヒュン軽やかに走る秘訣は、この軽さにあったのだ。
 その分失ったのが乗り心地である。道路の継ぎ目での突き上げが大きい。トントンと心地よいとは言い難い騒音も飛び込んでくる。軽量化と引き換えに手放したのが快適性ということだろうか。この辺りの割り切り方はさすがにダイハツであると得心した。

フロントサスペンション部分。
フロントサスペンション部分。

 帰り道、クルマに興味を示さない愚息を拾った。成人男性2人が乗ると、乗り心地が少し変わってきた。嫌な振動や騒音が低減するのだ。重いものが上に載って、安定するからだろうか。軽いクルマは、積載する重量により乗り心地が大きく変わる。1人乗りより2人乗りの方が圧倒的に具合がいい。

 翌日は敏腕弁護士的場の兄貴とともにスキーに出かけた(思えばこれが今シーズン最後のスキーになってしまった。コロナめ)。

 「何だ、このクルマは。軽自動車か」。兄貴のお屋敷に迎えに行くと、開口一番こう言われてしまった。「軽じゃありません。5ナンバーの小型車です。このクルマに試乗して記事にするんです。中に入ると意外と広くていいクルマです。今回はぜひこちらで」「そんな狭いクルマでスキーに行けるか。俺のクルマを出そう」「そこをなんとか……」5分ほど交渉(というか懇願)した末、ようやくOKをいただいてロッキーで長野に向かうことになった。

 蓼科まで180キロ。兄貴のご子息と私の愚息を入れて成人男性4名に荷物満載(さすがに全部は積みきれないので、入らない分は同行のクルマへ)でのドライブである。「試乗」としては非常に厳しい条件だ。

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