「途中でアクセルを緩めず、イッキに行きましょう」とアドバイスを受けたのだが、そこは素人の悲しさ、アクセルを踏み切れず、坂の途中で停止してしまった。「1回バックで下りたほうが良いでしょうか?」「大丈夫です。このまま行けます」。何と、Gクラスは45度の坂道で一時停止して、そのまま走り出すことができるのだ。

「もちろん下がグレーチングで、グリップの条件がいいからできることです。オフロードの坂道だとこうはいきません。今フェルさんが言った通り、いったん下に下りて、登り直す必要がありますね」
写真で見ると大した角度に見えないが、実際に相対すると、45度は大変な角度である。
奥志賀・熊落とし+15度の急斜面
奥志賀高原スキー場で一番の急斜面といわれる「熊落とし」のコースで最大斜度が30度。白馬は八方尾根の名木山の壁でも35度である。国内には最大斜度45度をうたうコースもいくつかあるが、そのほとんどは昨今の雪不足で着雪せずにクローズされているのではないか。
アクセルを踏み、エンジンの回転を上げて、今度はイッキに登った。先行きが見えず、フロントの窓越しに青空だけがポッカリ見えるのは、今までに経験したことのない、何とも不思議な光景である。

トルクが強大なディーゼルエンジンは、軽々と、実に軽々と急坂を登り切ってしまった。クルマを地面と平行にして、今度は下り坂。上から見ると、坂はさらに急角度に見える。ほとんど垂直だ。クルマがゴロンと前転してしまうのではないか。

「アクセルもブレーキも踏まず、アイドリングで下りましょう」
西さんの指示に従い、右足は床に、左足はフットレストに預ける。クルマはゆるゆると坂を下りる。
すごい。楽しい。もう1回。
周回を重ねるうちに、何となく勘どころがつかめてきた。うーん。自分のクルマでやりたかった。もう一度買おうか。しかしGクラスはコロナ不況もどこ吹く風で、大大大の大人気。現在9カ月待ちの状態であるという。
次号では、39年ぶりに生まれ変わったGクラス絶好調の裏話をお届けします。
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