みなさまごきげんよう。
 フェルディナント・ヤマグチでございます。
 新型コロナで大変ですが、今週も明るく楽しくヨタ話からまいりましょう。

 懸案の「白バイはなぜハンドルを右に切って止めるのか」問題。
 コメント欄にたくさんのご意見をいただきました。ありがとうございます。
 中には「教習所の教官に聞いても意味ないぞ。警官じゃないんだから」という厳しいご意見もありまして、こうなりゃ白バイさんに直接聞くしかありません。

やはり右に切って止めておられます。それにしてもずいぶん丁寧な白バイさんですね

 陸海空の自衛隊や海保(海上保安庁)に知り合いは多いのですが、あいにく警察に知り合いはいない。気軽にサクッと聞ける相手がいないのです。体を張ってスピード違反か何かで自らが検挙され、取り調べの際に「ところで……」と聞くのがてっとり早いのでしょうが、さすがにそれはできない。さてどうしたものかと思案しながら歩いていたところ、たまたま通りかかった交差点で、赤信号へ向けて白バイが徐行してくるじゃありませんか! 千載一遇のチャンス! 大きく両手を振って「スイマセーン!」と叫びました。

 見るからに善良そうなサラリーマンが(平日だったので、スーツ姿に黒革の薄いブリーフケースを持っていました)、必死の形相で白バイを呼んでいる。すわ、事故か事件か。緊張した面持ちで白バイがこちらに寄ってくる。

白バイ警官(以下、白):どうされましたか?

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):お仕事中に大変申しわけございません。ちょっと質問がありまして。

:はい、なんでしょう。

F:実は私、今バイクの大型免許を取りに教習所に通っていてですね。

:はぁ……。

F:そこではバイクを止める際、必ずハンドルを左に切るようにと教わっているんです。左にスタンドがあるから、そのほうが車体が安定するし、万一ズルズル動き出してしまっても、車道側に出てしまうことがなく安全だから、と。

:そうですね。教習所ではそう教えるでしょうね。

F:ところが白バイを見ると、みなさん右に切って止めておられます。これはどうしてでしょう。何か特別な理由があるのですか?

:なるほど。そういうご質問ですか。いや、必死で手を振っておられたので、何か起きたのかと思いましたよ(苦笑)。僕らが右にハンドルを切って止める理由は主に2つあります。1つは作業スペースの確保。白バイって、バイクの内側(歩道側)で物を書いたり、最近だと端末をたたいたりする機会が結構多いんです。ハンドルを左に切っていると、単純に内側が狭くなってしまうでしょう。

F:なるほど作業スペースですか。私はまた、こうして話している間に相手が逃げ出したり、他にもっと悪質なクルマが通ったりしたときに、すぐさまパッとスタートできるようあらかじめ右に切っているのかと思っていました。

:いや、それはないですね。スタートダッシュはハンドルをどちらに切っていても一緒です。瞬時にできます。僕ら、そのトレーニングは十分に積んでいますので。

 そう、大昔の交通機動隊突撃取材の記事(これシステムの都合で読めないんですよね。何とかならんですかねホント)でも書いたが、白バイ隊員は毎日大変なトレーニングを続けている。また休日には多くの隊員が自主トレをされている。その場ダッシュ、Uターンダッシュの速さはハンパじゃないのである。

F:逃げられませんね。

:はい。逃がしません。ていうか、逃げちゃダメですよ(笑)。

 もう一つが安全の確保。白バイって、ハンドルを右に切るだけではなく、こうして頭も右に振って止めていることが多いでしょう。

 親切な白バイ隊員さんは、そう言うとそれまで道路と平行に止めていた白バイを、軽々と動かして少し右向きに止めた。

懇切丁寧に教えてくださった白バイ隊員さん。ありがとうございました。時節柄お互いにマスクをし、社会的距離を確保しての会話となりました。

:こうやって少し開いて止めてパトライトをつけると、右後方と右前方の両方のパトライトが後ろから見えるようになる。後方から来るクルマからの視認性が上がるんです。重量のある白バイですが、クルマに突っ込まれたらひとたまりもありません。だから「ここに白バイが止まっているよ」と後方のクルマに知らせるんです。これはとても重要です。

F:視認性を上げて安全の確保。なるほど。

:最近のパトカーは、電車のパンタグラフみたいにパトライト全体がウィーンって上に上がりますよね。あれもより視認性を上げるための工夫です。理屈はあれと一緒です。この白バイの後ろのパトライトも、棒が延びるようになっています。

 白バイ隊員さんは、後ろのパトライトを「ほらね」と延ばしてみせてくれた。
 なんて親切な方。恐縮です。ありがとうございます。

F:お仕事中に突然声をかけて失礼しました。大変勉強になりました。ありがとうございました。

:いえいえ。免許、頑張ってくださいね。バイクは楽しいですよ。交通ルールを守り、安全運転でお願いします。

F:はい。頑張ります!

 いやー白バイいいですね。ホンダの浜松工場でしたっけ? こりゃ取材に行くしかないぞ。
 え?コロナで当面は操業休止。あぁぁぁぁ……。

 ということで本編へとまいりましょう。
 メルセデス・ベンツGクラスのインポーター編です。

続きを読む 2/6 そこにはジャンプ台が待っていた

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