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社長からすれば「そんなの当たり前だろう」という話

:はい。社長は「とりあえずバッターボックスに立て」と言うんですよ。そして「三振しても“ナイススイング”と言えるようブンブン振れ」と。トップがそう言うのだから、90万台だ何だという過去の数字にビビってちゃいけませんよね。マーケットというのは生き物ですから、どう転ぶかは出してみるまで分からない。でも社長が「トヨタは変わります」と世間様に宣言して、「とりあえずバッターボックスに立て」と社内に向けて言っているのに、僕らがビビって動かなかったら、それは社長に対する裏切りになりますよね。

F:章男社長と直接お話しする機会は多いのですか?

:いえ。ありません。

F:ないんですか? アメリカ市場で一番売れているトヨタ車で、日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)も取ったのに、佐伯くん、ようやったねとか言ってくれないんですか。

:いや、社長からすれば、「そんなの当たり前だろう」という話だと思いますよ。だからお前をそのポジションにしたんじゃないの、って言うと思います。今僕はRAV4とハリアーとハイランダーの3つを持っているんですよ。3車種合わせると130万台くらいになる。RAV4がたくさん売れましたとか、COTYを取りましたとか、そんな話じゃないんですよ。

F:はー……。

:まだ全然ダメです。僕はもっとプロとしての仕事をしたい。

F:もう十分やっているじゃないですか。

:まだまだです。僕はまだ全然プロになっていません。エンジニアとして、トヨタの一員として、まだ足りない。満足していません。

F:佐伯さん。どうしたいんですか。どうすれば満足するんですか。

:分かりません。分かりませんけど、満足したらもうそこで終わっちゃうと思っています。僕は自分の明日への挑戦は何かあるのかなと、自分でやれることは何があるのかな、と常に考えています。お、何かすごいこと考えたな、トヨタはこんなことをやっているのか、と思わせ続けたい。満足はないです。

広報鳥飼:フェルさん……そろそろ時間が……というか、既に1時間オーバーです。

F:ややや、もうそんな時間か。このインタビュー、この流れで続けたらエンドレスになっちゃうね(笑)。

マイトのY:それじゃここで一旦締めましょう。こりゃテープ起こしの量がハンパじゃないぞ……。

F:佐伯さん、メシ行きましょう。一杯行きましょう。

:行きましょう行きましょう。

 こうして長い長いインタビューは終了した。このまま我々は駅前の居酒屋へ流れ、RAV4に関するさらなる「深イイ話」を堪能したのである(あまりにも深すぎるので、とても公開できない)。

 佐伯さんは偉くなりますね。間違いない。クルマのこと、会社のことを「自分ごと」として考えていますもの。

 4週にわたってお届けしたRAV4佐伯さんのインタビュー。お楽しみいただけましたでしょうか?
 来週から始まるクルマもゴツく四角い外見のクルマです。お楽しみに!