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タイヤの役目は4つ、評価軸は8つ

コイツら本当に何も知らなそうだな、と見て取った横浜ゴムの皆様が、我々にレクチャーをしてくださった。 講師は新城工場業務課長の榛葉(しんば)靖典さん。

榛葉靖典新城工場業務課長(以下、榛):製造設備を見ていただく前に、そもそもタイヤの役目って何だか分かりますか。全部で4つあるのですが。

F:4つですか。走る、曲がる、止まる。えーとあとは、“転がる”とか……。

:当たらずとも遠からずというところでしょうか。正解はクルマの重量を支える、路面からの衝撃を吸収する、クルマが発進、加速するための駆動力や止まったりするときの制動力を路面に伝える、そしてクルマの向きを変える。この4つです。我々はこれを「タイヤの4大機能」と呼んでいます。

タイヤの4大機能
1:荷重支持機能
2:緩衝機能
3:制動・駆動機能
4:進路保持機能

F:なるほど、衝撃吸収。言われてみれば。

:そして我々はタイヤを8つの性能軸で評価しています。これは分かりますか?

F:8つもあるんですか?グリップがいいとか、減りにくいとか、パンクしにくいとかかな。

:そうですね。濡れた路面、乾いた路面でのそれぞれのブレーキ性能とコーナリング性能、走行時のハンドルの応答性とクルマの操安性、高速安定性、乗り心地、特に最近注目されているのが静粛性と低燃費性能です。

タイヤの8大性能軸
1:ウェット性能
2:ドライ性能
3:操縦安定性
4:高速安定性
5:乗り心地
6:静粛性
7:耐摩耗性能
8:低燃費性能

F:操縦安定性のいいタイヤは減りやすいとか、ウェット性能を良くするために溝を掘るとゴーゴー鳴ってうるさいとか、パッと見ただけでも相反する要素が多い。これをバランスさせるのが難しいところですね。

:そうなんです。そこが本当に難しい。そしてこれらの要素を十分に満たすために使用される原材料は、約150種類にものぼります。

F:150種類! ゴムと金属のワイヤーとあとはカーボンくらいかと思っていました。

:タイヤって1本丸々ペロッと1本のゴムでできているように思われがちですが、そうではありません。カーカス部、ベルト部、ビード部、トレッド部と、大きく分けて4つのパーツから成っています。それらがそれぞれ別の工程で作られて、最後にまとめ上げられて、ようやく1本のタイヤが出来上がるわけです。

F:鯛焼きみたいに型に入れて、ポンと出てくるのかと思っていました(笑)。

:そう思っている人が多いと思いますが、そうじゃないんです(笑)。

 新城にある2つの工場では、新城工場で乗用車用のタイヤの14インチから19インチ、新城南工場では16インチから24インチを作っています。三島にも工場があるのですが、あちらはこれより小さめのタイヤ。要するに軽自動車向けのタイヤが中心ですね。

 最近はハイ・パフォーマンス・タイヤの需要が非常に大きくなりまして、新城工場だけでは生産が追い付かず、2004年に新たに近くに作ったのが新城南工場というわけです。新城南工場の人は、こちらを「母屋」と呼んでいます。

F:生産しているのは国内向けの製品ですか?