:もうひとつ例を挙げると、練習をやりすぎてオーバーワークになって疲労骨折や肉離れを起こす選手もいますよね。バッテリーに置き換えると過充電や急速充電がこれにあたります。過充電・急速充電はバッテリーにダメージを与えます。

F:過ぎたるは及ばざるが如し、と。

:はい。ですからバッテリーを長持ちさせたいというのであれば、時々高速や一定距離を走るようにしたりして充電してあげればいいんですね。

 ただ、充電制御車やアイドリングストップ車は、減速時により多く充電を受け入れるため「空き」を残す制御で満充電にならないことがあります。壊れているわけではないので心配する必要はありません。

 1カ月に数回しか乗らないとかチョイ乗りばかりでそれが難しい方は、駐車中の暗電流で消費する電気も多くなりますので、充電器を使っていい状態に戻してあげるといい。これだけでバッテリーの寿命はグンと延びると思います。

 バッテリーは放っておくとサボる運動選手みたいなものなので(笑)。ただ都会だと駐車場で電源を取れるかどうかが問題になりますが……。そして、バッテリーの状態を把握するため、定期的にバッテリーテスターで測定することもお勧めです。整備工場や販売店で同一テスターの結果を記録していれば、変化も分かりますから。

F:そうそう。夜に交差点で止まるときなどに、毎回ヘッドランプを消す人がいますが、あれは節電になるのでしょうか。

:効果がゼロとは言いませんが、ほとんどないと言っていいと思います。節電と言うよりも対向車など周辺に対するマナーとしてされていると思います。今のクルマは消費電力の少ないHIDやLEDが多くなっていますし、再点灯を忘れて無灯火で走行するリスクもあります。節電を目的とした消灯はしなくてもいいでしょう。

えっ、自分で交換しちゃダメなの?

F:最後に一つ。今回のコラムを読んで、「よし。年末でちょうどいいからバッテリーを交換しようか」と思う読者の方も出てくると思うのですが、バッテリーって、自分で交換しても大丈夫なものなのですか? 何か今回お話をうかがって、そんなに簡単なものではないような気がしてきたのですが……。

:これはクルマによりますね。アイドリングストップ車では「バッテリーを換えましたよ」というのをクルマに教えてあげるリセットの作業が必要な車両もありますので。それを車両側が自己学習でやってくれる車両もあるんですが。リセット作業が必要な車両は、オーナーズマニュアルにたいていは「リセット作業が必要です」と書いてあります。

F:オーナーズマニュアル……読んだことないです。

:1回ざっと読んだほうがいいですよ。アイドリングストップ機能の付いた一部の車両は、アイドリングストップからのエンジン始動回数をカウントしているんです。バッテリーを交換したタイミングでカウンターをゼロにしてあげないと、前のバッテリーでカウントした回数をそのまま覚えているから、閾(しきい)値を超えてしまうと、クルマ側の判断で、「もうこれ以上アイドリングストップをやりません」、となってしまうんです。せっかく新しいバッテリーにしたのに。

F:えー! そんな機能が。知らなかった。そんなことが。

:交換した直後にそうした現象が起これば「これは変だ」と分かるのですが、交換してからしばらくしてアイドリングストップをしなくなったとなると……。

F:なんだこのボロバッテリーは、やっぱり安売りはダメだな、ということに……。

:はい。なりかねないんです。そのリセットが自分でできる車両もあれば、できない車両もあるんです。これはもう車両によるので、それを含めて、マニュアルは読んだほうがいいんです。お正月にでもじっくり読んでみて下さい。

F:なるほど。いや、大変勉強になりました。今日はありがとうございました。

 クルマが変わればバッテリーの使い方も変わる。
 せっかくDIYでバッテリーを交換したのに、突然パタッとアイドリングストップをしなくなったらまずはバッテリーを疑いますよね。

 クルマのブラックボックス化が進み、日曜メカニック派にはますます厳しい時代になりそうです。

 2回にわたってお届けしたバッテリー特集。お楽しみいただけましたでしょうか。

 新年一発目は「日本一進んだ自動運転」の、あのクルマをお送りします。ものすごくバッテリーにはツラいんだろうなあ(笑)。
 お楽しみに!

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