ボッシュ オートモーティブアフターマーケット事業部・セールスマーケティングサービス部・尾崎友昭さん
ボッシュ オートモーティブアフターマーケット事業部・セールスマーケティングサービス部・尾崎友昭さん

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):クルマの進化にあわせて、バッテリーもどんどん進化してきているとうかがいました。具体的に、バッテリーを取り巻く環境はどのように変化してきているのですか? 例えば昨今ではアイドリングストップが標準となりつつありますが、あれはバッテリーにとって相当な脅威ではないですか?

ボッシュ オートモーティブアフターマーケット事業部・セールスマーケティングサービス部・尾崎友昭さん(以下、尾):そうですね。確かにアイドリングストップはバッテリーにとってキツいですね。エンジン停止中は放電する一方で、この部分放電状態もバッテリーの負担になります。そして再始動のクランキングですから……。

F:燃費には効くのでしょうが、それにしても今までバッテリーに降りかかる災厄の歴史において、アイドリングストップが最も厳しいものではないかと思うのですが。

:いえ、それ以外にも実はECUやセンサー類の増加がバッテリーにとっては非常に負担が大きいです。一昔前の車両と比較すれば、もう圧倒的にキツい。アイドリングストップは、エンジンの再始動時だけですが、何しろこれらの電子部品は、常時動いているものですから。

センサーの数だけ電気を食う

 ここで尾崎さんの言うECUとは、エンジンの運転制御を行うEngine control unitのことではなく、トランスミッションの制御からエアバッグの作動、衝突防止から車線維持、地味なところではエアコンからパワーウィンドウの制御、と様々な分野を電子制御するElectronic Control Unitのことである。新しいクルマでは100個を軽く超えるECUが搭載されている。

F:なるほど。電子部品のほうが電気を食う。

:ECUの1個ずつの消費電力はそれほど大きくなくても、何しろ数が多いでしょう。カメラもそうですしレーダーもそう。最近ではアクセルもブレーキもステアリングもセンサーが付いていますからね。これらが全部、常時電気を使っている。センサーの数だけ電気を使っているんです。しかも送られた信号を使って常時演算して、その結果によっては、さらに別の部品が電気で動きます。目には見えませんが、クルマの中ではこれがずっと続いています。

F:センサーの数だけ。なるほど、困った連中ですね。

:これら大半のシステムや部品も当社が扱っている製品なので、あまり悪役扱いはできないのですが……(苦笑)。

F:あー(笑)。

:あと意外と消費電力が大きいのは電動パワステですね。しかし、これからの自動運転のことを考えると、電動パワステはマストです。ステアリングに介入するとなると、モーターで駆動させるしかありませんからね。油圧式じゃどうにもならない。

F:電動パワステは電気を食いますか。

:食いますね。大食いです。結構なパワーのモーターが付いていますから。輸入車では電動パワステの動作で電圧降下した場合に備えて補機バッテリーを搭載している例もあります。

F:油圧ポンプを回すよりもパワーを食わないと言われていますが、あれって本当にエコになっているのでしょうか。

:電動パワステが使用する電気も、発電機が燃料を消費して作ったものを使っているわけです。しかし、走行全体での燃料消費は油圧式よりは抑えられているのではないかと思います。装置もコンパクトにできますし。

F:なるほど。パワステが油圧式から電動に変わってきたのは燃費のためばかりと思っていましたが……

:燃費向上の目的は間違いではないと思います。ただ、現在では自動運転レベル2から先のことを考えると、電動にしておく必要があるんです。そうでなければ対応できません。

F:しかし炎天下の渋滞の高速でエアコンをバンバン効かせてオートドライブにセットしてスマホ充電して後ろの座席では映画なんか観ていた日には……。

:そうですね。走行していればいいですが、渋滞していると相当厳しいです。電気の持ち出しのほうが多くなる確率がかなり高い。当然、厳しい条件も想定してバッテリーの大きさ・容量は設定されています。しかし、限度を超えると行き着く先は、いわゆる「バッテリー上がり」です。

F:こんなに技術の進んだ世の中でも、未だにバッテリー上がりがなんてあるんですか。

:ありますあります。JAFさんの発表ではバッテリーの過放電と寿命・劣化は、要請理由上位の常連です。

F:夏休みの家族旅行中にバッテリー上がりなんて最悪ですよね。家族のためにと思って出かけたのに、逆に「パパのバカ」って話になる。オヤジの面目丸つぶれです。どうしたら防げるのですか?

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