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:そう。というのも、コネクティビティ1つにしても開発費がものすごくかかっているからです。開発費を償却しようと思ったら、まずは確実に数の出るクルマから先に取りかかるべきだよね、と。そこは企業の論理が先に行ってしまったのかもしれません。

「後にCX-30あり、ファストバックはデザインに振り切れ!」

 何でも正直に話してくださる藤原副社長。
 大明神の大明神たる所以である。

MAZDA3 ファストバック

:そうは言っても、中心のクルマはクロスオーバーSUVになっていく。世の中の中心が変わるんです。もう少しで変わる。セダンとSUVの台数が入れ替わる。そうした背景があるからこそ、MAZDA3のファストバックは、思いきりスタイリングの方向に振ったんです。スタイリッシュじゃないですかあれは。安全確実に売れ線を、と考えたら、オーソドックスに居住性を重視したクルマを造らなきゃいけないところをね。あえてデザインに振った。

F:オーソドックスに居住性重視、例えて言えばフォルクスワーゲンのゴルフみたいなヤツですね。

マイトのY:あぁ! だから他社の名前を出さない!

F:Cセグで居住性と言えばゴルフでしょう(笑)。

:まあそうですね(苦笑)。それをもう、「後にCX-30が控えているから、デザインに振れ」と。思い切って昔のランティスみたいなものを造れと指示したんです。

マイトのY:ら、ランティス! 懐かしい……。

マツダ・ランティス クーペ

:あれが(MAZDA3の)ファストバックの原型です。それはもう非常にデザインのいいクルマでした。一方でセダンは中国があるのできっちりとセダンにしろと。中国の市場はまだまだセダンが人気で、実際によく売れますからね。

F:なるほど。一方、セダンに関しては子供に「クルマの絵を描いてごらん」と言ったら、みんながそろって描きそうなスリーボックスの典型的なスタイルを残した。

:子供の描く絵はもう既にSUVですよ(笑)。少なくとも日本とアメリカはもうそうなっています。うんとデカいタイヤを描いてね。一方で、ドイツでは「SUV悪玉論」が盛んになってきています。あんなにデカくて重いクルマは燃費が悪いだろうと。当然環境にも悪いだろうと。

F:デカいタイヤ。確かに。SUVのタイヤはデカい。当然重い。そこがアイコンになるんですね。逆にうんと軽いSUVというのは作れないのですか?

:それは難しいですね。子供が絵に描くように、SUVはタイヤ自体が大きいじゃないですか。大きい、重たいタイヤからの入力は非常に強い。だからボディもものすごくしっかり造らなくちゃいけなくなる。

F:タイヤが大きいと入力が大きくなる。

:そう。タイヤの大きさはクルマ造りに大きな影響を与えます。だからスポーツカーでも、タイヤのデカいクルマを造るのは本当に大変です。

AD高橋マンちゃん(以下、高):自動車メーカーの方にこんな言い方をしたら怒られそうですが、タイヤが大きいのは「悪」とも言えますよね。

:「悪」ですか(苦笑)。