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 世界中のクルマの「売れ線」に変化が見られて久しい。
 諸兄もご存じの通り、顧客の興味がセダンやハッチバックから、SUVへとどんどん移行している。

 ラインアップにSUVがないと相手にされない時代がやって来た、と言ってもいいだろう。
 だからランボもロールスも、“あの”アストンでさえも、こぞってSUV市場に参入を始めたわけだ。

 そんな時代に、なぜあえてマツダは第7世代の切り込み隊長を「MAZDA3」に任せたのだろう。
 同じ第7世代アーキテクチャーのSUVである「CX-30」を、どうして後から出したのだろう。
 今回はそのあたりから伺ってみよう。

藤原清志マツダ副社長

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):昨今のSUV人気はすごいですよね。クルマにほとんど興味のない友人が、「子供も生まれたので、仕方なく……」と、頭をかきながら相談に来るときも、候補として挙げてくるクルマはSUVばかりです。

藤原清志副社長(以下、藤):そうですね。特に成熟した市場では、「普通のクルマ」がセダンやハッチバックから、クロスオーバーSUVに向かっている感じですね。一般の人の会話の中で、「クルマ」というワードが出てきたら、それがイコールでクロスオーバーSUVを指す時代が来ているのだなぁ、と感じます。アメリカなんかはもう完璧にそうなっていますね。既にセダンに乗っている方が異端児扱いされるほどです。

F:ほんの少し前まで、「アメリカはセダンの国」という印象がありましたが。

:いえいえ、今ではもうSUVの方が当たり前です。SUVが普通のクルマです。そして日本もこれからそうなると思っています。

F:そんな時期に、どうしてセダンとハッチバック(※MAZDA3では同じ意味の「ファストバック」と呼称)であるMAZDA3を先に出したのですか? SUV優位と分かっているのに、なぜCX-30を先に出さなかったのですか?

MAZDA3 セダン(以下、車両写真は全てマツダ提供)
CX-30

それは驕りとしか言いようがない

:そうですね……それを言われてしまうと、ウチの「驕り(おごり)」としか言いようがないですね。

F:第6世代というのでしょうか。フルフルのSKYACTIVテクノロジーを搭載したクルマは、最初にSUVの「CX-5」から出しました(2012年)。

CX-5 こちらは特別仕様車の「XD Exclusive Mode」

:CX-5を出した時は、やっぱりこれに懸けていたんです。SUVが成長している時代背景の中で、マツダが復活するためにはこれしかない、と思い、CX-5に懸けたんです。

 今度の第7世代は、時間もコストもかけて細部までちゃんと作り込んできました。後々のビジネスを考えると、一番数の多いMAZDA3から始めることがベストだと考えたのです。いくらSUVの時代と言っても、当面、数が出るのはやっぱりセダンとハッチバックです。まずはたくさん数を出して、その恩恵を十分に受けてから……と考えたわけです。

F:なるほど。いくらSUVの時代とはいえ、まずは確実に売れる方から始めて、と。